駿河湾マダイダービーが3月19日~5月22日の約2カ月間で開催され、3匹の合計重量12・96キロで高橋正人さん(45)が初優勝を手にした。高橋さんは釣り歴15年マダイ歴10年だが、大会などでの優勝経験はなく、釣り人生初の優勝となった。初タイトル獲得を「マダイの猛者がエントリーする中で優勝できたのは、うれしいというより、正直ビックリしています」と笑った。「お世話になった大和丸の大多和(勝巳)船長から『優勝だってよ!』とラインがきたけど、『はぁ!?』といった感じでした」と振り返った。

優勝をたぐり寄せたのは4月10日に釣り上げた5・33キロの大ダイ。「その日は全く潮が動いていなくて、軽い仕掛けにしようとしてフロートパイプを入れて置きザオにしていました。仕掛けは9メートルで指示ダナが45メートルだったと思いますが、船長から『タナを2メートル上げて』の指示で、ゆっくり巻き上げたら、それが誘いになったのか食ってきました」。これまで上げた最大が7キロということもあり、心には余裕もあった。「2~3回走られたけど、それほど抵抗せずに上がってきました。最初は『ちょっとデカいかな』といった感じでしたが、途中で4~5キロくらいだと思った。上げるのは5分も掛からず、スルスルと上がってきました」とし、「マダイの抵抗は大体最初だけ。45メートルのタナで食ったので、ハリスを入れれば55メートルくらい。そこから20~25メートル上げてしまえば、おなかが膨らんで引っ張らなくなりますから、そこまでは気を使いながら上げて、その後は電動でグイグイ上げた」と冷静に対処した。その後は3・96キロと3・67キロを追加。2位との差はわずか800グラムだった。

同ダービーは、日刊スポーツ共栄会の安良里「ふじなみ丸」、戸田「たか丸」、久料「魚磯丸」、興津「大和丸」、御前崎「博栄丸」の5船宿で開催。3匹の合計重量で争われ、期間中の入れ替えは何度でも可。また、1度エントリーすれば、対象船宿のどこに乗船してもOKというルールだった。

「正直優勝はないと思っていました。船長が体調を崩して出られなくなった時期もあって、その分回数も出られないから、他で出るんだろうなと思っていました」。ダービー期間中、乗船していた大和丸・大多和船長は体調を崩し入院、休業を余儀なくされた。だがその間、他の船に乗ることはなかった。「バラすと『バラしやがってばか野郎』とか、『下手クソ、泳いで帰れ!』とか言われますけど、いろんなことを教わりました。マダイ釣りは大多和船長にゼロから教わったようなものですので」とあくまでも師匠の船にこだわった。

そんな王者にマダイ釣りのポイントを聞いた。「基本はタナ取り。船長の指示ダナを守ることが一番重要ですが、必ず糸で確認すること。カウンターだと誤差が出てしまうので、糸で確認して守ることが重要です」とアドバイスしてくれた。数釣りについては「その日の潮をみて、潮乗りがいい仕掛けを選ぶといいでしょうね」と話した。また、大物狙いについては、「自分の経験上、基本的に大きいやつほど置きザオのときにきています。誘いに先に反応するのは細かいやつかなって思っています。自分的には、『置きザオで手返しよく』がコツになると思います」と惜しみなく話してくれた。

今年の駿河マダイダービーには計81人がエントリーし、トップ10人中8人が10キロ超え。1匹の最大重量は11位三井司さんの7・1キロだった。