釣り人にとって、車は大事な道具だ。目的地に行くとか、行った先での買い物などの足になる。時には宿泊スペースにもなる。最も重要なのは、釣行のための荷物。荷室のスペースなどを活用すれば、上手に収納できる。カー用品や、釣り具のメーカーなどの便利グッズも使えば大事な道具が末永く使える。バスプロの茂手木祥吾さんをはじめ、日刊スポーツの釣り宿の常連さんの荷物の収容のコツも紹介しよう。

2段式の収納スペースにしているおかまり車
2段式の収納スペースにしているおかまり車

★サオやリール持ち運びに神経

理想は、不世出の俳優高倉健さん最後の主演作となった映画「あなたへ」のキャンピングカーだろう。完全な独居空間で電気があって、料理もできれば、宿泊もできる。金銭的な余裕がネックでここまではできないにしても、SUV、軽を含めたワンボックスなど、フルフラットシートが可能な車のドライバーが多い釣り人にとって、マイカーの収納スペース活用法はいろいろだ。

コンパクトに収納スペースをまとめた宇畑車
コンパクトに収納スペースをまとめた宇畑車

釣行の運転時、特に神経を使うのはサオやリールの持ち運びと、釣れた魚と海水(または淡水)の入ったクーラーの水漏れ。特にサオの穂先(ティップ)やガイド、リールのハンドルやベールなどは損傷しやすい。ロッドキーパーやオモリ、ルアーなどが多数入った箱の重みや衝撃を与えるのは壊れる原因となる。

茂手木プロはサオの保護方法として、「運転席と助手席をカラビナで引っかけ、エキスパンダーの要領で広げる伸縮自在のロッドホルダーなら穂先を守れますし、リールを付けたままロッドを収納できます。また、カーメイトなどで売っている内部で衝撃が吸収できるロッドケースを積んだり、それをルーフトップに搭載する車もあります」と紹介してくれた。

茂手木車は車中泊も可能
茂手木車は車中泊も可能

クーラーに関しては、「ダイワなどの釣り具メーカーで出しているタックルトレーが便利です。でこぼこ道の衝撃などで水が漏れても、車の収納部分がぬれずに済みます」と強調した。

多くの釣り人は車の天井下の運転席後方と、後部ハッチの近くの2カ所で左右に突っ張り棒を通している。そこにリールを付けたままのサオを何本も載せる。これなら釣り場に到着してから仕掛けを投入するまでの時間が短縮できる。突っ張り棒にハンガーを掛けておけば、ライフジャケットやカッパも簡単につれる。

釣りに特化した収納スペースのある茂手木車
釣りに特化した収納スペースのある茂手木車

茂手木プロや磯釣りで全国を飛び回る千葉県在住の宇畑好二さん、おかまりこと岡田万里奈さんは、荷室部分を2段に収納している。特に茂手木プロや宇畑さんは上の部分にベッドなどを置き、下は荷物を収納している。「かつては自分だけの居住空間にしていましたが、今は仲間と相乗りで運転する。モバイルバッテリーなど軽量で小型化されたものもあるので、必要なものだけ積んでいます」(宇畑さん)。

S字フックで帽子をまとめるなど細かい工夫がうかがえる白石車
S字フックで帽子をまとめるなど細かい工夫がうかがえる白石車
必要最低限の道具だけ積む大関会員の軽自動車
必要最低限の道具だけ積む大関会員の軽自動車
リールもしっかり保護できるカーメイトのロッドホルダー
リールもしっかり保護できるカーメイトのロッドホルダー

おかまりと、日刊釣りペンクラブの大関実会員は何でも楽しむ。「必要最低限の荷物を積み、釣りの対象魚種と釣り方に合わせて入れ替えます」(おかまり)。「アユのシーズンになると1~2週間各地を飛び回るので、道具は最低限にして着替えとともにアクリルの収納ボックスに詰め込みます」(大関会員)。

同伴者と釣りに出ることが多い埼玉県在住の白石英一さんは、ワンボックスのスペースを巧みに運用。折り畳んだ座席の隙間にオモリやテンビン、ウキなどの小物、仕掛けなどをビニールケースに入れて収納する。突っ張り棒やリールのボディーなどに掛けたS字フックに帽子をまとめるなどの工夫をしている。

軽トラの荷台スペースを存分に生かした寺元車
軽トラの荷台スペースを存分に生かした寺元車
座席のすき間を利用すれば小物なども詰められる
座席のすき間を利用すれば小物なども詰められる

軽トラ派は千葉県出身の寺元敏光さん。サオは水にぬれても平気だし、長さ190センチまでなら荷台にそのまま置ける。それよりも長い場合は、リールを付けたまま折り畳み、軽トラ専用の「アイリスオーヤマ・ツールボックス」に入れる。ツールボックスは荷台に固定し、ライフジャケットやカッパなどを収納するという。「防水性が高く、施錠もできるので重宝。軽トラは最強です」と強調した。

今回はたまたま釣りにスポットを当てた。スキーやスノボ、キャンプといったアウトドアレジャーの趣味を持っている人、塗装業や電気工事業など仕事にも、これらの収容方法は生かせるのではないか。【赤塚辰浩】

カーメイトのロッドホルダーを上部に装着したSUV
カーメイトのロッドホルダーを上部に装着したSUV

■レジャー目的のSUV ワンボックス普及

釣り人にとっては低燃費車とともに、運転席、助手席、後部座席をすべて倒せるフルフラットシートをはじめ、シートの組み合わせが自在にできるような車の開発が大きい。

20世紀終盤、自動車メーカーは地球の環境保全という大命題でエコカーの開発競争をしていた。長野五輪開催前年の1997年(平9)、トヨタが市場に投入したハイブリッド車「プリウス」が代表例だろう。政府が無策だとガソリン代が高騰して財布を直撃するから、低燃費はもちろんありがたい。

ほぼ同時期に相前後して、居住性や荷室の確保を重視したタイプの車も数多く開発された。レジャー目的のユーザーに、SUVやワンボックス車の普及は大きな役割を果たしている。