超高齢社会を乗り切るにはどうすればよいか。高齢者が要介護となる原因として懸念されている病気のひとつが「認知症」だ。脳の神経細胞になんらかの異変が起きて発症するといわれるこの病気に対して、医学は〝特効薬〟を持ち合わせてはいない。そこで威力を発揮するのが「予防医学」という考え方だ。脳の健康を保つ食生活について、早大ヘルスフード科学部門・部門長の矢沢一良教授に聞いた。

世界的長寿国の日本…高齢化で急増する認知症

平均寿命が80歳を超え、世界でも稀な超長寿国となった日本。単に長生きするのではなく「健康寿命」を延ばすことが国家的命題である。それを可能にするのが「予防医学」という考え方だ。病気になってから医者にかかるというこれまでのライフスタイルから、病気にならない知恵が求められている。矢沢教授はこう話す。

「高齢社会がすすむ中、もっとも懸念されているのが認知症の予防です。認知症は脳の健康と深くかかわっています。予防医学が果たす役割は大きいと思います」。

「介護保険制度」で要支援または要介護との認定を受けた人は約592万人(2014年末)。75歳以上で要介護と認定された人は4人にひとりである。その原因の1位は「脳血管疾患(脳卒中)」(17・2%)だが「認知症」(16・4%)もほぼ同レベルで推移している(平成29年版高齢社会白書より)。一方で高齢者の交通事故、介護離職など、認知症を巡る問題は近年ますます深刻になっている。

プロフィル
矢沢一良(やざわ・かずなが)
◆矢沢一良(やざわ・かずなが)1948年(昭23)東京生まれ。京大工学部卒業、農学博士。東京海洋大学「食の安全と機能に関する研究プロジェクト」特任教授等を経て現在、早大ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門・部門長を務める。予防医学、ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする。