人それぞれのサプリメント

腸内環境を整える「腸活」は予防医学の実践にもっとも近いと考えられる。日常生活で何を注意したらいいか。

「普通に食事をとっていれば、腸内細菌は大体うまくそれらを利用してくれるものです。しかし、肉ばかり、野菜ばかりといった非常に偏った食生活であれば、腸内細菌のバランスも偏ってしまいます。何でも食べることは非常に大事ですが、お薦めしたいのは食物繊維ですね。食物繊維には水溶性と非水溶性の2種類があります。水溶性のものは比較的、腸内細菌を利用することができ、腸内環境の改善に役立ちます。一方、食物繊維の中には腸内細菌が利用できないもあります。それらを腸は異物と判断するので、ぜん動運動を活発にしてくれるのです」

食物繊維は不足気味といわれている。積極的に摂取したいものだ。

「食べ物で上手にコントロールすることがまずは大切なことです。しかし、なかなかそうもいかないことが多いものです。その場合は、サプリメントを利用しましょう。サプリメントは足りないものを補充するという意味ですから、決して主食ではありません。たとえば普通の生活よりも激しい活動をするスポーツ選手は、デスクワークの人と同じでは足りません。その人のライフスタイル、パターンによって必要なものは異なるということです」

足りないときは量を手軽に増やすことができる。サプリメントはもともと、栄養素が濃縮されているので、他の食べ物に影響なく必要量が取れるというメリットがある。矢沢教授によれば摂取量はそれぞれの「推奨量」を目安にすればいい。

「たとえば、抗酸化作用をもっている成分にはいろいろな種類があります。少しずつ化学構造が異なるわけですが、眼に行きやすいのはアントシアニン、ルテインといった具合にそれぞれが威力を発揮する場所があるのです。そのため1つの種類の抗酸化成分より、複数の成分を摂取したほうが、より抗酸化力が期待できます」

ただし、すべて1つに入っていると、大変な量になるので現実的ではない。どの成分が一番有効かを考えることが大切だ。

プロフィル
矢沢一良(やざわ・かずなが)
◆矢沢一良(やざわ・かずなが)1948年(昭23)東京生まれ。京大工学部卒業、農学博士。東京海洋大学「食の安全と機能に関する研究プロジェクト」特任教授等を経て現在、早大ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門・部門長を務める。予防医学、ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする。