なんと、日常的にセックスに励んでいる高齢者は認知症になりにくい!? 性の健康を専門に研究している英国のゴーシュ教授の研究で、そんな研究結果を発表しています。その理由として、セックスによって脳への血流が増えるため、脳が活性化するということです。

 セックスは適度な運動により、血流量が上がり、さらに、オーガズムを得ている最中は、より脳の神経細胞が活発化して、たくさんの酸素と栄養が脳に送られるのです。このことにより、セックスを定期的にすることは「脳トレ」の役割があり、ほとんど悪いところを見つける方が難しいほど、優れた効果があるのです。

 米メリーランド大学のネズミの研究でも、交尾をした後は、認知能力や記憶をつかさどる海馬の働きが良くなったとのこと。

 老人の医療などが専門のフレディ松川医師によると、スケベ心(エッチな気持ち)を持っていることは、認知症予防にとっては大事と言います。エッチなことを想像することは、老け込んでいくのとは反対のこと。おそらく人間にとってスケベ心は生涯にわたるエネルギー源であり、心身ともにいつまでも若くあろうとする動機となります。逆に「そんな態度は不潔でけしからん」などと真面目を装っている人、スケベ心を持たない(ふりをしている)人は、考えも感情も硬直してしまい、柔軟性も活気も失い、やがて認知症への道に近づいていく可能性が高いといいます。

 アルツハイマー病を主とした認知症対策で効果的なセックスとして、「1度のセックスでいろんな体位を試した方がいい」「クンニ効果は高い」「ラブホなど刺激的な場所の方が効果的」などが挙げられます。なぜかというと、「デュアルタスク」(2つの仕事)の要素があるからです。

 「デュアル-」とは、汗をかくような有酸素運動と、想像力・記憶力・深く考えるなどの高次の脳を使うこと、その2つを同時に行うことです。ですから、セックスにおいても、想像力を働かせて、相手に喜んでもらう。たとえば、前戯に時間をかける、常に新しい体位を追求する、相手の喜ぶようなサプライズなことを考えるという工夫が大切です。創造力、想像力を働かせることが大切なのです。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。