自分の尿意とは関係なく尿が漏れてしまうのが、尿漏れです。これには夜間に何度もトイレに行きたくなる「夜間頻尿」の症状を伴うことがあります。実に4500万人が悩んでいるとされています。

 55歳以上の男性の5人に1人が、これにかかっているといわれます。加齢などによって起こる「軽い尿漏れ」は、男性特有の前立腺のトラブルや、男性の尿道が女性に比べ長いために起こる排尿後尿滴下(はいにょうごにょうてきか=尿道に尿が残る)などにより尿の切れが悪くなることから、多くの男性が経験をしています。しかしながら男性の尿漏れは、これまであまり取り上げられなかったためか、女性に比べ泌尿器科を受診することが少ない傾向にあり、軽い尿漏れは「恥ずかしいもの」と捉え、1人で悩む人が多いようです。

 「最近3カ月以内に尿漏れを経験したか」を聞いたところ、50歳代以上の男性では「経験したことがある」が30%と、約3人に1人は経験していました。また、「月に1回以上の『軽い尿漏れ』を経験したことがあるか」についても、50歳代男性の6人に1人が経験していました。

 女性では-。40歳代~70歳代女性の人に言えない秘密を尋ねると、第1位に「尿漏れ」がランクインしました。こちらも3人に1人が経験しており、決して珍しい症状ではないのです。出産を経験したり、加齢によって生じることが多いとされています。

 そこで対策ですが、頻尿に効くといわれる食材があります。「山芋」と「銀杏(ぎんなん)」です。前者は1日60グラムが効果的。マグネシウムが多く含まれていて、尿道括約筋などの筋肉の収縮を整える働きがあるといいます。山芋は日本固有の食品で、火を通した方が良いという意見もあるようです。

 後者の銀杏も、頻尿の改善にはよく出てきます。筋肉の収縮を促すマグネシウムを豊富に含み、排尿の際に働く筋肉を強くします。血行を促して頻尿を改善することから特効薬といわれ、古来より生薬として親しまれてきました。冷えからくる頻尿にも効果的。1日5、6粒を目安に食べましょう。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。