コロナ自粛に伴い、運動不足や食生活の乱れ、通院をやめるなど、健康に悪影響を及ぼすような状況に陥っている人は少なくない。新型コロナ予防は重要だが、生活習慣病などの健康管理も大切といえる。そこで、Withコロナでの健康管理について考えていく。

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新型コロナでは、心筋梗塞よりも脳梗塞患者が世界で増えているという。理由はわかっていないが、国内の脳卒中の原因の約3割は、心臓の動きが乱れる心房細動で起こっている。

「心臓は規則正しい拍動で血液を送り出していますが、心房細動では拍動が乱れ、血液が心房内にたまることで血栓が生じます。それが脳へ流れて脳梗塞になるのです」とは、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科の原英彦准教授。心臓病の診断・治療を数多く手掛け、昨年9月に薬事承認された「WATCHMAN(ウオッチマン)左心耳閉塞(へいそく)システム」などの治療も得意としている。

「心房で血栓が生じやすいのは、左心耳という小袋のような場所です。カテーテルを用いたウオッチマンの治療で左心耳をふさぐと、心房細動による脳梗塞予防につながるのです」

心房細動の早期診断・治療は、脳梗塞はもとより、心不全予防にも役立つ。だが、心房細動はそもそも自覚症状に乏しいことも多い。動悸(どうき)や胸の苦しさを感じる人もいるが、全く無症状という人も。

「心房細動になると健康診断で不整脈といわれます。不整脈の治療はいろいろあるので脳梗塞になる前に受診しましょう」

コロナ禍では、毎年受けていた検診を先延ばしにしたり、今年は受けなかったという人もいる。コロナも怖いが、健診を受けずに身体の異常を見過ごすのもよくない。

「特にコロナ太りなどで体調が変化した人は、例年以上に健康管理を心掛けましょう」。