コロナ自粛に伴い、運動不足や食生活の乱れ、通院をやめるなど、健康に悪影響を及ぼすような状況に陥っている人は少なくない。新型コロナ予防は重要だが、生活習慣病などの健康管理も大切といえる。そこで、Withコロナでの健康管理について考えていく。

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コロナ禍では、「感染するのが怖い」からと医療機関への受診を控える人もいる。一方、新型コロナ患者の対応で一般的な検査や診療にも影響が及ぶ。そういった中で、定期的に受けていたがん検診を止めたり、がん検診で指摘された精密検査を先延ばしにするような事態が起こっている。

「4月の緊急事態宣言から解除後の6月ごろまで、感染予防対策のために、全国で健康診断やがん検診は休止されていました。7月以降、感染予防に努めながら再開しています。しかし、昨年は例年と比べて全体的に受診率が下がっており、がんの進行を懸念しています」と、がん・感染症センター都立駒込病院の神澤輝実院長。肝胆膵領域のがんの診断・治療・研究はもとより、「がんと闘う病院 都立駒込病院の挑戦」(講談社刊)を出版するなど患者や家族が、がんと闘うためのサポートにも力を注ぐ。

2019年の「国民健康基礎調査」によれば、過去1年間に胃がん、肺がん、大腸がん、女性のみの子宮がん検診と乳がん検診は、受診状況が50%前後で、「第3期がん対策推進基本計画」の目標である50%を男性の肺がん検診と過去2年間の胃がん検診は超えた。また、同調査の13年、16年の結果と比較しても、19年は右肩上がりに受診率が上昇。この状況がコロナ禍で崩れた可能性がある。

「がんは早期発見・早期治療で予後が向上します。がん検診はその一助になります。コロナ禍であってもうまく活用しましょう」

※この内容は昨年11月の取材に基づきます。