コロナ自粛に伴い、運動不足や食生活の乱れ、通院をやめるなど、健康に悪影響を及ぼすような状況に陥っている人は少なくない。新型コロナ予防は重要だが、生活習慣病などの健康管理も大切といえる。そこで、Withコロナでの健康管理について考えていく。

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昨年、全国がんセンター協議会の5年生存率と10年生存率が更新され、いずれも前回より生存率が上昇した。近年、がん検診率は右肩上がりに伸び、診断法や治療法の進歩は目覚ましく、進行がんであっても、予後を改善する人が少しずつではあるが増え始めている。だが、治療が厳しいがんは依然として存在する。その代表格が「膵がん」だ。先の5年生存率は11・1%、肺がん46・5%、大腸がん76・5%、胃がん74・9%と比べてはるかに低い。

「膵(すい)がんは、一般的な人間ドックの検査では、早期発見が難しいがんのひとつです。膵臓(すいぞう)が胃の裏側に位置するため、腹部超音波検査では膵がんを見つけることが難しく、腹部のCT画像検査でも、早期の膵がんを見つけるのは困難です」と話すのは、がん・感染症センター都立駒込病院の神澤輝実院長。膵がんの診断・治療を得意とし、早期発見・早期治療の新たな方法や、進行がんに対する集学的な治療法を駆使して、膵がんの克服に尽力している。

「当院では、膵がん発症リスクの高い方には、内視鏡の先端に超音波のついた超音波内視鏡(EUS)による検査で、膵がんの早期発見につなげています」

膵がんリスクの高い人は<1>両親などが膵がんであるなど家族歴、<2>糖尿病、<3>喫煙、<4>膵のう胞。いずれか当てはまる場合は、定期的に膵臓の検査を受けることが早期発見で重要だ。コロナ予防はもとより、がんリスクを減らすことも考えよう。

※この内容は昨年11月の取材に基づきます。