コロナ自粛に伴い、運動不足や食生活の乱れ、通院をやめるなど、健康に悪影響を及ぼすような状況に陥っている人は少なくない。新型コロナ予防は重要だが、生活習慣病などの健康管理も大切といえる。そこで、Withコロナでの健康管理について考えていく。

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我慢の年末年始を過ごしても、新型コロナウイルス感染症はなかなか収まってくれない。通院している人は、感染対策を従来以上に注意しなければならず、受診するのも大変だ。一方、コロナ禍の通院に考慮して、昨春から厚労省が、電話・オンラインによる診療を後押ししている。かかりつけ医の診療を電話やオンラインで受け、処方箋は薬店に送って薬は郵送してもらうことも可能になった。しかし、その恩恵を受けられないケースがある。

「がんの診断・治療では、患者さんの状態を血液検査や画像診断などで見極める必要があり、電話やオンラインでは難しい面があると思います」と、がん・感染症センター都立駒込病院の神澤輝実院長。肝胆膵領域のがんの診断・治療・研究を長年行い、院長として感染症の克服にも力を注ぐ。

「当院でも、緊急事態宣言の時には、抗がん剤の点滴注射を飲み薬に変えて通院回数を減らすなど、努力はしました。ですが、やはり、実際に患者さんの診察が必要なケースも多かった。電話やオンラインは、がん患者さんには難しい」

一方、生活習慣病で血糖値や血圧の数値が安定しているような場合は、電話やオンライン診療が行われやすい。患者の状態は、日々家庭で測定する数値変動が目安になり、異変がなければ薬の処方は変える必要がないからだ。「コロナ禍でもがんと闘うのはたいへんです。だからこそ、感染予防に多くの人に努めていただきたいと思います」

※この内容は昨年11月の取材に基づきます。