コロナ自粛に伴い、運動不足や食生活の乱れ、通院をやめるなど、健康に悪影響を及ぼすような状況に陥っている人は少なくない。新型コロナ予防は重要だが、生活習慣病などの健康管理も大切といえる。そこで、Withコロナでの健康管理について考えていく。

   ◇   ◇   ◇

マスク習慣や会話の減少などは口の中の環境を悪化させ、歯周病につながりやすい。近年、歯周病と全身の病気が関係することがわかってきた。たとえばアルツハイマー病。アミロイドβタンパク質が増加して脳が萎縮する認知症で、2020年7月、九大研究グループの報告で、歯周病菌の刺激によってカプサイシンBという酵素が増え、脳にアミロイドβタンパク質がたまりやすくなることが示された。

「歯周病菌は、口から唾液や食べ物と一緒に気管へ入り込み、誤嚥(ごえん)性肺炎のような病気につながります。一方、歯周病菌は歯茎の血管にも入り込み、血液を介して全身を巡って病気に関わることがわかってきたのです」とは、栗原ヘルスケア研究所の栗原丈徳所長(歯科医師)。口腔(こうくう)ケアと全身の健康について研究・啓発活動に力を注ぐ。

「アルツハイマー病のみならず、認知症のリスクを上げる糖尿病も歯周病と関係しています。糖尿病と関係の深い脂肪肝もしかりです。がんや骨粗しょう症など、さまざまな病気に歯周病の関与が疑われているのです」

つまり、口の中のケアが、病気から身を守るために重要になる。だが、厚労省の「歯科疾患実態調査結果」(2016年)によれば、歯周病のうち歯周炎が疑われる歯周ポケット4ミリ以上を持つ人は、40代は40%台、50代では50%を超える。

「全身の病気を防ぐためにも、今年は口腔ケアをもっと意識しましょう」

食後のハミガキを忘れるようなことがないように。