妻が、母が--家族の誰かが乳がんになった時、家族はどのように接するといいのでしょうか。悩んでいる方も少なくないようです。ご家族は当然ショックを受けられるのですが、乳がんに罹患(りかん)した本人にとっては、「いつもと同じように接してもらうのが一番ほっとする」という声が最も多いのです。

あまりに気を使い過ぎない。ただし、手術後や抗がん薬での薬物療法を行っているときは、サポートが重要です。とりわけ、抗がん薬での治療中はいろいろつらい副作用があります。「脱毛」「白血球の減少」「吐き気、嘔吐(おうと)」「下痢」「口内炎」などですが、必ずしも全員にすべての症状が出るわけではありません。

ただ、最近は副作用を抑える有効な薬もどんどん出てきています。有名な副作用の1つ「吐き気、嘔吐」も、薬の進化によって、今では「嘔吐」はほぼなくなり、少しむかむかする、あるいは食欲がない程度ですむことがほとんどになりました。

副作用がつらいときは、ご本人は食事の準備などはできません。そんな時に声掛けをして、安心して治療に専念できるようにしてあげると良いのです。ご家族で話し合ってそれぞれがサポートできることを行いましょう。

「がんだけど本人はいたって元気」というときは、腫れ物に触るような接し方をしていると、かえって患者さんはご家族に気をつかうようになります。こういう時は、普段通りに接するのが一番です。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)