阿部酒造/柏崎市
6代目阿部裕太さん。滝野川醸造試験場で酒造りの基本を学んだ

 今、新潟の地酒ファンや酒販店が熱いまなざしを注ぐ酒蔵。それが阿部酒造だ。生産量の少なさでは県内で1、2を争う小さな蔵が2015年から展開する「あべ」シリーズ、16年から展開する「☆(スター)」シリーズ。どちらも個性的で、今までの新潟の地酒にはないタイプだ。阿部酒造の代表銘柄である「越乃男山」は5代目蔵元杜氏である阿部庄一社長が手がけ、「あべ」と「☆」シリーズは息子である6代目次期蔵元杜氏の阿部裕太さんが造る。裕太さんは高校卒業後上京。酒蔵を継ぐつもりはなかったが、日本酒好きの先輩から薦められて飲んだ東北地方のうま口系の酒に日本酒の可能性を感じ、酒造りに興味をもった。その後飲食店検索サイトの運営会社で飲食店の動向などを学び、15年に実家へ戻った。

 蔵へ戻り、自分のブランドとして立ち上げたのが「あべ」シリーズだった。「一から新しいブランドを造りたいと言ったとき、父が反対しなかったことがありがたかった」と振り返る。米の旨みと酸味をストレートに感じてほしいと、原酒タイプのシリーズに。今回の1本はその中の「あべ 純米大吟醸 おりがらみ」。地元柏崎産の越淡麗を使い、生原酒でありながらスッキリとした味わいが特徴だ。10月からの今季の酒造りで「あべ」は4年目を迎える。「『あべ』シリーズだったらこれという定番酒が、今季は造れると思います」と意気込む。

 一方の☆シリーズは、裕太さんのさらなる挑戦の形だ。家庭の食卓で楽しんでほしいと、ライトでわかりやすい味わい、原酒でもアルコール度数が低い飲みやすさを追求。さらに地元柏崎産の酒米にもこだわる。酒が発売される頃の田んぼの風景が描かれたラベルに、その思いが込められている。今季の「あべ」の味わいと、さらなる挑戦に期待しよう。【高橋真理子】

[2017年10月7日付 日刊スポーツ新潟版掲載]