越後酒造場/新潟市
越後本流の酒造りを極めたい、と西島徹杜氏

 現在、越後酒造場の杜氏を努める西島徹さんは、上越市吉川高校醸造科を卒業し、2005年11月より、越後杜氏の中でも越後本流にあたる野積杜氏の青木礎(もとい)氏に学んだ。野積流で最も特徴があるのが酒母造りだ。米と水、酵母をタンクに入れて酒母を仕込むとき、のり状になるくらい念入りに櫂(かい)入れをする。酵母の過剰な働きを抑えるためだ。

 さらに「温度管理は『のこぎり』です」と西島杜氏。朝晩は低く、昼間は高くし、グラフがギザギザになるためこう呼ばれている。野積流の酒造りは、越後平野の北部に位置するこの蔵の自然環境を最大限に生かした方法だ。

 代表銘柄は創業時からの「甘雨」と、「越乃八豊」。「甘雨」は戊辰戦争のとき農民有志を組織し北辰隊を指揮した地元の志士、遠藤七郎の雅号に由来。「越乃八豊」は新会社設立時に誕生した銘柄で、創業時の「八田酒造場」の「八」と豊栄市(当時)の「豊」を冠し、地元を大切にする思いが託されている。

 今回の一本は「大吟醸 越乃八豊 山田錦100%使用」。山田錦を40%まで磨いた最高峰の酒で、出品酒でもある。新潟県の酒蔵が参加できる鑑評会には5月の全国新酒鑑評会(全国)や秋の関東信越国税局酒類鑑評会(関信越局)などがあり、そこでの評価は酒蔵にとって名誉だ。新たな販売展開にもつながる。

 「越乃八豊」は2009年(平21)の関信越局で最優秀賞を受賞。その後も全国金賞などの受賞歴がある。5月に発表される全国で金賞を受賞すれば、今回の一本は「金賞受賞酒」となる。「評価されて初めて販売の舞台に立てると思っていますが、こればかりは分かりません」と西島杜氏。官能審査ゆえ絶対はない。だからこそ蔵人は日々伝統の技を磨き、〝最高の酒〟に挑み続ける。【高橋真理子】

[2016年4月9日付 日刊スポーツ新潟版掲載]