越後桜酒造/阿賀野市
「地域に開かれた、愛される酒蔵になりたいですね」と長社長

 毎年10月から3月まで白鳥が飛来することで知られる阿賀野市の瓢湖。ピーク時より少なくなってきたものの、2月になっても早朝には餌を求め、朝日を受けて飛び立つ美しい姿を見ることができる。この瓢湖から車で約3分の地に越後桜酒造がある。2009年に酒蔵を改装し、通年見学ができる観光蔵として生まれ変わった。

 「白鳥蔵」の愛称を持つこの蔵では、9月中旬から翌年の7月中旬の酒造り期間には、その工程を間近で見ることもできる。蔵見学のもうひとつの楽しみといえば試飲。見学後試飲できる酒は、蔵限定の生しぼり。その中の「白鳥蔵 大吟醸 生しぼり」が今回の一本。兵庫県産の山田錦を50%まで磨いて醸した上品な香りと味わいが楽しめる大吟醸酒だ。

 白鳥蔵完成後、多くの人においしい酒を飲んでもらいたいというコンセプトのもと、省力化、機械化を進めてきた。機械化することにより味が均一化し、安定した生産ができる。しかし「機械だけでは手造りと同じ酒はできません」と長(おさ)昌幸社長は断言する。「発酵具合や最終的な味を決めるのは人の技術や勘です。それは昔から、今も変わらず追求していることです」。

 現在12人の蔵人が、今季4年目となる大竹豪杜氏のもと酒造りを担っている。ハード面の機械化は進めつつ、彼らの技術向上のため、鑑評会への出品酒はすべて手作業で醸す。昨年春の全国新酒鑑評会で金賞、秋の関東信越国税局酒類鑑評会「吟醸酒」の部で入賞という結果が、その技術の高さを証明している。

 「原点は手造り、機械は応用」を貫き、淡麗ですっきりとした、料理の味を引き立てる酒を追求し続けるとともに、観光蔵としての役割も強く意識している。「地元の人にもっと知ってもらい、瓢湖や五頭温泉、月岡温泉などの観光と合わせて酒蔵を見学してもらうことで、地域を盛り上げていきたいですね」と長社長。ここでしか味わえない、買えない酒との出会いを求めて、この冬、白鳥蔵を訪ねてみよう。【高橋真理子】

[2016年2月6日付 日刊スポーツ新潟版掲載]