菊水酒造/新発田市
「最高の状態でお客様に届けることを目指しています」と伊藤マネージャー

 駅の売店でも、コンビニでも、県内外問わず見かける缶入りの生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」。1972年(昭47)に蔵見学者にしぼりたての酒を振る舞ったときの感想がきっかけで生まれた日本初の生原酒だ。この看板商品と同じ年にもう1つ、今も変わらず愛されるロングセラー商品が誕生した。それが今回の1本、毎年10月に出荷される季節限定のにごり酒「五郎八(ごろはち)」。濃くて甘い、昔ながらの素朴なにごりの味わいをそのまま詰めた。2006年の酒税法改正によりカテゴリーはリキュールに。清酒を名乗るために原材料割合などを変更する道もあったが、「味を変えない」ことにこだわった。「信頼は味でつながるもの」との信念からだ。

 1881年(明14)創業の菊水酒造は4代目高沢英介前社長の時代に法人を設立し新蔵を建設したが、1966、67年の水害により蔵が流された。どん底から奮起し1969年に現在地に新蔵を建設。その3年後に杜氏制度を廃止し先進的な酒造りへの挑戦が始まった。

 入社から25年となる生産部マネージャーの伊藤淳さんは「誰が造っても同じ味を表現できます」と断言する。鑑評会には現在ある2つの蔵がそれぞれ出品し好成績を収めているが「出品酒はあくまでも技術を磨くためのもの。その技術をすべての商品に応用することが造り手の役割です」と伊藤さん。今季は8月19日から来年6月末までが酒造期間。四季ではないが3・5季醸造だ。

 大変ではないかと伊藤さんに問うと「それだけ経験できることは幸せです。それができるのも飲んでくださるお客様のおかげ」とほほ笑む。最高の状態の酒を、飲みたいと思ったときに飲んでほしい。そして笑顔になってほしい。製造、営業の垣根を越えて一丸となって挑戦することこそが、この蔵の「変わらぬ姿」だ。【高橋真理子】

[2016年12月31日付 日刊スポーツ新潟版掲載]