新潟第一酒造/上越市
醸造責任者の岩崎豊さんは新潟清酒学校出身

 ほくほく線のうらがわら駅を降り、駅を左に見下ろしながら、緩やかな山道を上る。その先に新潟第一酒造がある。周囲ののどかな風景と、昔の小学校のようなノスタルジックな蔵のたたずまいに心が和む。

 1922年(大11)に亀屋酒造として創業後、63年(昭38)に4軒の蔵が合併し新潟第一酒造となり、翌々年にもう1軒が追加合併。4代目となる武田良則社長は一昨年まで15年間醸造責任者として酒造りを担い「品評会で賞に入る酒」を徹底して目指してきた。このことにより蔵人の酒造技術を高め、さらに市販酒においても大吟醸と同じ造り方を当てはめる形が、この蔵独自の味わいを生んだ。

 蔵の核となる酒が今回の1本「越の白鳥 純米吟醸 秘伝仕込み」。地元浦川原産の五百万石を使い、脈々と受け継がれてきた歴代杜氏の秘伝の技で醸した酒だ。口に含んだ瞬間のインパクトの強さと、すーっと消えてゆく後味のきれいさ。五百万石でこれだけ味を出せる「秘伝」の技はもちろん非公開だが、技とともにもうひとつ要因があると武田社長は考える。自身が醸造責任者になった頃、それまでの水系が枯れ、裏山の湧き水を仕込みに使うようになった。この水の力が影響しているのではと。

 昨季から醸造責任者となった岩崎豊さんは「酒造りは面白い」と目を輝かせる。「毎日毎日変化していく。生き物と付き合っていると実感します。だからこそ真面目に造っていかなければ」。上越市の酒蔵を中心とする「高田杜氏会」に参加し、他蔵のベテラン杜氏や同世代の杜氏と交流することが刺激になるという。武田社長が目指した品評会入賞は、岩崎さんにとっても目指すところだ。挑戦しつつ、自然とともに育まれてきたこの土地の発酵文化を、おいしさで伝えていく。【高橋真理子】

[2017年1月28日付 日刊スポーツ新潟版掲載]