高橋酒造/長岡市
杜氏を務める関口賢史さん。埼玉から6年前に長岡へ

 栖吉(すよし)川にかかる橋から蔵の全景を望む。シンボルの煙突がすっくと立つ総赤煉瓦(れんが)造りの建物は、1922年(大11)に建設されたものだ。大正モダンの煉瓦造りが美しい。北越戊辰戦争、長岡空襲、新潟地震、さらに中越地震にも耐え抜き、2007年には国の登録有形文化財に。

 煙突の土台部分を見せてもらった。「この煉瓦は、1段おきに向きを変えて積むイギリス積みです。フランス積みより頑丈だといわれています」と杜氏の関口賢史専務が説明する。すすこけた煉瓦がその歴史を物語っている。

 高橋酒造の現在の代表銘柄「長陵(ちょうりょう)」は、長岡の昔の呼び名。栖吉川の伏流水と長岡の米を使い、伝統の越後杜氏の技で、地元の人たちに愛される酒を醸す。その思いを託した銘柄だ。

 「長陵」には普通酒、本醸造酒などがあるが、今回、関口専務が選んだ1本は「八一 吟醸」。新潟が誇る文豪、会津八一が、創設家である高橋家の遠縁にあたることから、この名を冠した。オール五百万石を使った上品な香りの吟醸酒だ。

 「うちの蔵は昔から淡麗辛口ではなく、コクがあるタイプ。こだわりの食中酒です」と関口専務。蔵の酒を型にはめず、辛すぎず、ふくよかで、やさしく―。高橋酒造独自の伝統の味わいをもった酒を、「独往」の精神で醸し続ける。大正時代の蔵と同様に、時代が変わっても、地元で楽しんでもらう酒への思いは変わらない。煉瓦造りの煙突のように、その思いを貫いていく。

 10月7日には長岡駅前のアオーレ長岡で、長岡市の16酒蔵の地酒が楽しめる「越後長岡・酒の陣」が開催される。「八一」の味わいも確かめてみよう。【高橋真理子】

[2017年9月16日付 日刊スポーツ新潟版掲載]