宝山酒造/新潟市
将来の蔵元杜氏である渡辺桂太さん(左)と盟友の若松秀徳さん

 新潟の夏の食卓に欠かせないものといえば、枝豆。くろさき茶豆を筆頭に秋までさまざまな品種が楽しめる。枝豆にはビールが定番だが、この夏、ぜひ試してほしい日本酒がある。それが今回の1本「蔵のにごり酒」。

 夏ににごり酒? と怪訝(けげん)な顔をする方もいるかもしれないが、この「にごり」は今までのイメージを覆す、甘くない、むしろ辛口だ。冬に仕込み、3月にびん詰め、火入れをして発酵を止めるため夏も楽しめる。旧北国街道沿いにある宝山酒造5代目蔵元、渡辺桂太さんと営業の若松秀徳さんおすすめの1本だ。

 「夏ににごりをがぶがぶ飲みたい ! 」。宝山酒造のファンのひと言からこの酒が生まれた。「サラサラ飲めて辛口なので、枝豆の甘さとマッチします」と渡辺さん。東京を中心に営業する若松さんは「男性は20~30代、女性は幅広い年代層に人気です」と分析する。

 渡辺さんと若松さんは東京農大時代の同級生だ。卒業後、渡辺さんは群馬の酒蔵で3年間修業し昨年実家に戻った。若松さんは、卒業後ワイン専門の販売店に就職。大学2年のとき、渡辺さんが若松さんに「一緒に酒を造らないか」と言ったことがきっかけで、昨年若松さんも宝山酒造の一員となった。

 東京在住の若松さんは定期的に酒蔵に来て情報交換や企画提案をしている。渡辺さんは次期杜氏として、黄綬褒章を受章した名杜氏、青柳長市さんに師事。青柳杜氏からは、機械に頼らない感覚の大事さを学んでいる。「弥彦山の伏流水、近隣の米農家、そして青柳杜氏。最高の原料とプロの技がうちにはある。自分がやるべきことは基本を丁寧に、1つ1つ経験を重ねていくことです」と自負する。それとともに、若松さんと2人で若い感性を生かした取り組みにも挑戦する予定だ。目が離せない。【高橋真理子】

[2016年8月20日付 日刊スポーツ新潟版掲載]