竹田酒造店/上越市
竹田成典社長(右)と息子の春毅さん。4人の蔵人とともに、丁寧に、酒を醸す

 「日本酒の評価は減点法ですが、ワインは個性を特長として評価してもらえます」。竹田酒造店9代目の竹田成典社長は、世界的に権威のあるIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)での評価の意味をこう語る。

 2013年(平25)に初出品し特別本醸造がいきなり最高賞を受賞。この評価により、他の酒蔵の酒と比較してもらえる対象になったことが大きいと竹田社長は考える。

 「『にいがた酒の陣』でも、うちのような小さな蔵は利き酒すらしてもらえませんでしたが、IWCでの受賞が味わってもらうきっかけになりました」。昨年のIWC本醸造の部で「かたふね」は再び最高賞を受賞した。

 上越の海沿いに江戸時代から続く小さな蔵が醸す地酒は、米のおいしさを伝えるコクのある旨口。酸が高いのも特徴だ。今回の一本「純米原酒 壱回火入れ かたふね」は蔵が目指す味わいを原酒でストレートに楽しめる。こうじ米に60%精米の越淡麗、掛米に65%精米のこしいぶきを使った、5月から7月限定の季節商品。上越地域の酒は昔からコクのある味わいが特徴だった。

 新潟県の淡麗辛口が注目されたころも、竹田酒造店はかたくなにこの味を守り抜いてきた。ここ数年、日本酒に個性を求めるニーズが増え、「かたふね」の味への評価が高まってきたなかで、IWC受賞により消費者の「かたふね」への関心がさらに高まった。「一生懸命、丁寧に造ったうえでの個性はあっていい」と竹田社長。

 父とともに酒造りに携わる将来の10代目、竹田春毅さんも同じ思いだ。今年創立33年を迎える新潟県独自の後継者育成の場、新潟清酒学校で、父の成典さんは2期生として、春毅さんは25期生として学んだ。春毅さんは他の酒蔵の同期生たちとのネットワークをはぐくむなかで、蔵の味を守る大切さを再認識した。

 今年の「純米原酒 壱回火入れ かたふね」は5月19日に発売される。ロックでも負けない力強い酸味を楽しみたい。【高橋真理子】

[2016年5月14日付 日刊スポーツ新潟版掲載]