玉川酒造/魚沼市
「今後は気軽に参加できる酒の会も積極的に開催していきたいですね」と風間勇人専務

 新潟県内でも豪雪地として知られる魚沼市の須原に、玉川酒造はある。ルーツは酒蔵から徒歩数分の場所にある国重要文化財指定の目黒邸。徳川4代将軍の時代、1673年(寛文13)に目黒家6代目の目黒五郎助が創業した。蔵元がテーマに掲げるのが「伝統」と「革新」だ。「玉風味」の銘柄で、雪深い地ならではの少し濃い味の料理に合う地酒を、地元の人たちのために醸し続ける。この「伝統」の味わいを代表するのが、今回の1本「本醸造 魚沼玉風味」。

 麴(こうじ)米には五百万石、掛米にこしいぶきを、ともに60%まで磨いて使用。麴の力を最大限に生かして米を溶かし、丁寧に醸している。旨(うま)口の本醸造酒で「いい意味でくせがありつつ、それでいて飽きのこない酒です」と風間勇人専務は説明する。仕込み水は裏山の中腹から湧く超軟水の雪解け水。酒米は地元魚沼産にこだわる。3年前から地元生産者に酒米栽培を働きかけ契約栽培量を増やしている。「魚沼産コシヒカリの価格が下がっているなかで、地元の米価格を守ることも酒蔵の使命だと考えています」と風間専務。

 一方の「革新」の味わいには、酒通にはおなじみの46度の日本酒リキュール「越後さむらい」や、1982年(昭57)頃から研究を始め89年(平元)にデビューした雪中貯蔵酒「ゆきくら」など個性的な商品がそろう。日本酒の成分を生かした化粧水や入浴剤にもいち早く取り組んでいる。2つのテーマの根底にあるのは「酒蔵にしかできない楽しませ方を提供したい」という思いだ。いつでも、1人でも、見学・試飲ができる施設、県内や首都圏での酒の会などでその場をつくることに努める。「玉風味」には玉のように丸い味わいとともに、飲む人が円満になる酒という意味がある。口に含んだ瞬間に笑顔になる酒で、1日を締めくくりたい。【高橋真理子】

[2016年10月8日付 日刊スポーツ新潟版掲載]