近本は阪神の中でも若手、中堅にいないタイプの打者だ。それは、ストレートを狙って、きっちりと捉えられる点にある。

初回、そして5回の二塁打はいずれもファーストストライクの直球を一発で仕留めた。技術的に言うと、右足を上げて、しっかりとタイミングを取れている。トップの位置が、左肩と左側頭部の間に収まり、ボールに対し最短距離でバットが出ている。だからストレートに対応できる。5回の2点目、3点目は山井の甘い変化球を打った。これは近本が打たせたような得点だ。

大山や北條がそうだが、体の後ろでバットが半円を描くように遠回りしているので、直球を捉えきれない。「積極的にいけ」と言われても、振りにいけず、手が出ない傾向にあるのは、そういうところにある。それで言えば、一発で仕留める確率が高いのは、近本だ。昔から「ストレートにタイミングを取って、打てない選手は大成しない」と言われてきた。近本は狙って打てる。すごくいいバッターになる可能性を秘めている。

中日対阪神 5回表阪神2死一塁、近本は中越え適時二塁打を放つ(撮影・前岡正明)
中日対阪神 5回表阪神2死一塁、近本は中越え適時二塁打を放つ(撮影・前岡正明)