元阪神監督で日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が正式契約目前のメル・ロハス・ジュニア外野手(30=韓国KT)の打撃を映像で緊急チェックした。韓国球界で今季、本塁打と打点の2冠を獲得した虎の新戦力の実力は本物か。真弓氏が来季の本塁打数をズバリ予測した。

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本塁打中心の今季の映像を見た限りでは、左右の打席ともに大きな穴は見当たらない。真っすぐよりも変化球にうまく対応している印象だ。引っ張りの打球も多く、引っ張れるというのは本塁打の数が絶対的に増える。日本でプレーするにあたり、速い球でインコースを攻められた時にどういう反応を見せるかがポイントになる。

打撃の技術はある。速球に食い込んだり、体勢を崩されて泳ぎ気味になっても、打てている。打撃のポイントが、投手寄りから捕手寄りまで、幅が広い。これが狭いとバットの芯に当たる確率は低くなる。ロハスはヒットゾーンが広いと言える。スイングの振り出しはコンパクトに、球をつかまえにいく際は大きなフォローができている。高いアベレージを残せるバッターの特長だ。これは足腰をうまく使っているからだ。上体に頼るのではなく、下半身でリードして、最後にバットが出てくる。だから泳がされても、ボールを拾えることができる。スイングが速い感じではないが、ボールは飛んでいく。ホームランを打っているが、いい意味で力感がない。

韓国でハイレベルな数字を残したのも、うなずける。日本でも30本ぐらいは打つんじゃないか。

右左の打席で穴がないので、相手が右投手でも左投手でも打順をいじる必要はないだろう。高い打率に、本塁打も打てれば、どれだけ相手が勝負してくれるか。3番に置いたほうが、勝負してくれるだろうね。ただし、それもキャンプ、オープン戦で順調だったならば、という注釈がつく。状態次第では、最初は6、7番で様子をみるという判断をしたほうがいい。サンズが3番を打ってもいいんだ。

最近は、日本の野球はこうしてやらないといけないと、意識過剰でダメになる外国人がいる。ボーアは40発の期待感があった。それに応えようと思い、空回りしたところがあると思う。先に自分の打撃を作ってしまって、それから日本野球に慣れるほうがいい。あまり期待されなかった外国人が成績を残せることがある。あれこれ言わず、最初は放っておいたほうがいい。

▼阪神の外国人選手で、シーズン30本塁打以上を記録したのは6人(のべ11回)いる。このうち、来日1年目に記録したのは、カークランド、ブリーデン、バース、フィルダーの4人で、最多は76年ブリーデンの40本。アリアスはオリックス時代の01年にも38本塁打しており、3年連続で30発超え。ブラゼルは西武を退団後、米独立リーグを経て09年シーズン途中に阪神入り。後にロッテに移籍し、日本で通算7年プレーしたが、30本塁打以上打ったのは10年だけだった。

真弓明信氏(2019年3月26日撮影)
真弓明信氏(2019年3月26日撮影)