元阪神投手コーチで日刊スポーツ評論家の中西清起氏(58)が韓国最多勝右腕の映像を緊急チェックした。阪神は23日に、ラウル・アルカンタラ投手(28=韓国斗山)の獲得を発表。韓国リーグ20勝の実力は本物か。中西氏はツーシームを高く評価。巨人岡本や広島鈴木誠らリーグを代表する右のスラッガー攻略を期待した。【取材・構成=田口真一郎】

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映像を見る限りでは、やはりパワーピッチャーだ。上体でガンと押し込む。真っすぐに力がある。韓国で20勝しているから先発で起用するだろうが、リリーフでもいけるよ。変化球は、カットボールのように曲がりの小さいスライダーがある。フォークとスライダーの球速は同じぐらいだ。最も使える球種は、ツーシームだ。右打者のインサイドに食い込みながら落ちる。スピードもある。相手の主軸にも効果的に使えるはずだ。左打者に対しては逃げていくボールになる。

投球フォームをチェックしたが、腕をアームのように投げるタイプ。肘をしならせるのではなく、腕全体で振り込んでいる。この投げ方では変化球の細かな制球はないが、落ちる球にはいいだろう。私のコーチ時代に呉昇桓がいたが、彼はホップする直球だった。アルカンタラは、押さえ込む球筋のため、高めのゾーンで空振りを取るのではなく、低めに集めた投球になると思う。

力のある真っすぐでドンドン押して、ツーシームがいい。テンポよくバッターに攻めていくタイプで、コントロールも悪くない。問題はそれが裏目に出たときだ。一本調子になれば、連打を浴びるパターンもある。韓国で20勝といっても、日本でいくつ勝てるかはまだ分からない。日本のバッターがどういう反応を見せるか。またキャンプ、オープン戦でチェックしていきたい。いずれにせよ、ボールに力があるのは間違いない。楽しみな投手だ。(日刊スポーツ評論家)