日本ハム中田翔内野手(28)が放った言葉は力強かった。14日に国内FA権を行使せず、残留することを表明した会見で、今オフにメジャー移籍を目指す大谷の話が振られた時だ。間髪入れず、次のように即答した。

 中田 翔平がいなくなるのはチームにとっても、すごく大きな穴ができてしまうのかもしれないですけど、そこをみんなで力を合わせて乗り越えてやってきたチームですから何も心配はしていないですし。また、逆にピッチャー陣で言えば、翔平の代わりになってくれるようなピッチャーがどんどん出てくると思いますしね。今のところ何も、僕は心配ごとはないですね。

 投打で主力を張った唯一無二の存在が抜ける可能性が極めて高い現状だが、憂うどころかチームの底力を信じて問題にしなかった。

 11年オフには大エースのダルビッシュがメジャーへ移籍したが、12年はリーグ制覇。抜けたダルビッシュの穴は、吉川(現巨人)が大活躍して埋めたことは記憶に新しい。実体験もあるからこそ、迫り来る課題にも前向きな言葉で受け止められるのだろう。

 本音は別かもしれない。ただ、中田が公の場で平然と「心配ごとはない」と言うことが、とても意義のあることだと感じる。若い選手が多いチーム構成の中で、28歳ながら経験豊富な中田の言葉は、今季は5位に沈んだチームの巻き返しを予感させた。【日本ハム担当=木下大輔】