生き残るために必死だ。阪神に新加入した山崎憲晴内野手(31)が10日、星野仙一氏の追悼試合に途中出場し、7回、中日谷元から執念の内野安打を勝ち取った。止めたバットに当たった打球はボテボテの三塁ゴロに。懸命に走り、最後はヘッドスライディング。これで1軍昇格から3試合連続安打と結果を残している。

 「どこでも守れる守備力と、勝負強さ、小技を見てほしい。何回もアピールの機会は来ないだろうから、そのチャンスをモノにできるようにしたい」

 2月の高知・安芸キャンプでは、室内で居残ってバント練習に取り組んだ。「僕が試合に出る上で、必要になる。代打でバントをすることもあるだろうから。そこで役割を果たして、チャンスを広げたい」。苦い経験が自らを動かす。昨季DeNAを戦力外になった。「僕も日本シリーズを良い気持ちで見てたわけじゃない。どちらかと言うとタイガースと同じ気持ちで見ていたと思う。ちゃんとやり返したい気持ちが強い」。心はすでに虎色だった。

 野球に集中できるように-。大学4年間、プロで9年間過ごした横浜から飛び出した。「単身赴任の考えもあったけど、家族で関西にきた。相談したら来てくれるっていうから、本当に心強かった」。背中を押してくれる存在がいるから、山崎は今日も頑張れる。【阪神担当 真柴健】