23歳の若者が中日を去った。2年前まで先発ローテーションの一角を守っていた若松駿太投手だ。10月1日に球団事務所で西山球団代表から戦力外を通告された。

「2年間何もやれなかった。マネジャーから球団事務所に来て欲しいとの電話をもらったときは、まさかと思ったけど、もしかしてとも感じた」

福岡・祐誠高から12年ドラフト7位で中日のユニホームに袖を通した。3年目の15年シーズンに才能が開花。4月に初勝利を手にすると、8月にはプロ初完封を含む月間4勝。初の月間MVPにも輝いた。年間10勝と大野雄の11勝に次ぐチーム2位。翌年を7勝8敗に終えてから、低迷が始まった。

17年は7試合1勝4敗。今年は1軍に上がることなくシーズンを終えた。ファームでも開幕から5試合に投げたが、右肩痛からリタイア。ケガが癒えても、ウエスタン・リーグのマウンドに立つことはなかった。11月13日の12球団合同トライアウトに参加。3者凡退に打ち取ったもののNPB球団からの声はかからなかった。12月6日に独立リーグBC栃木に入団した。

「体は悪くない。もう1度、NPBに戻りたい。なぜ戦力外になったかがわかれば苦労しないです。だからその理由を探しに行きます」

1月4日からBC栃木に合流。独立リーグは前期後期の年間70試合のリーグ戦。登板機会は多くない。4年前の輝きを取り戻すため、険しい道の先を見据え、右腕は足を踏み入れた。【中日担当 伊東大介】