股間にお玉動画を見て心を痛めている男がソフトバンクにいる。ドラフト6位泉圭輔投手(21=金沢星稜大)だ。

昨年10月末に行われたドラフト会議の1カ月前まで金沢市内の牛丼チェーン「すき家」でアルバイトしていた。同じ制服を着た若い男性たちが「くびかくご」と氷を投げまわり股間にお玉を当てた動画が流れたことが悲しかった。「さすがにあれはよくないですよね。僕は夜中の暇な時間は本を読んだり携帯電話をいじくっていました」と客が来ない時間の過ごし方を教えてくれた。

18年ドラフトで入団した投手は5人。泉以外の4人はキャンプをA組(1軍)でスタートした。出遅れた感があるが作山スカウトは「バイトもそうだけど、今まで普通の大学生だった。だから体の力をつけないと。伸びしろはでかい。スタミナさえつけば、ほかのルーキーを抜く可能性さえある。おもしろい存在」と今後の大化けを期待している。身長187センチの最速147キロ右腕は「手が長くて直球に角度があって打ちづらい」(作山スカウト)のが武器だ。

泉も「おもしろいと思われているだけではだめ。プロの練習も大丈夫」と、体を大きくして勝負に出るつもりだ。「すき家はメニューがたくさんあるけど、牛丼をつくることが一番うまかったかな。僕が活躍してすき家がホークスのスポンサーになってくれるように」とバイト先への愛情は今も持っている。

「金沢じゃ時給がよかったんですよ」。通常1時間950円、深夜は1時間1250円で働いていた。ルーキーイヤーの今季は推定年俸800万円で契約した。1月下旬に初任給が入ると「額がすごくて」とうれしそうに話した。金沢星稜大から初のプロ野球選手。数カ月前まで金沢の牛丼店で働いていた普通の青年が、どんなサクセスストーリーを見せてくれるのか。今から楽しみだ。【ソフトバンク担当 石橋隆雄】