阪神育成ドラフト1位の小野寺暖外野手(21=大商大)が、はい上がる強い気持ちを再確認した。11日、大商大硬式野球部の激励会に出席した。約200人の関係者に囲まれて「これだけたくさんの人に来ていただいて、やるしかないという気持ちが高まりました」。右の大砲候補は気を引き締めた。

大学の同期でドラフト指名された中日2位の橋本、ヤクルト4位の大西も出席。中華料理を囲みながら話に花を咲かせたが、戦う気持ちも忘れなかった。3人のなかで小野寺だけが育成選手契約。「一番下から上がっていく気持ちで頑張りたい」。成り上がり精神でまずは支配下選手登録を勝ち取る。

大商大時代もそうだった。1年の時から試合に出ていた2人に比べ、小野寺がレギュラーになったのは最終学年の4年から。3年の秋に代打で出場するようになるまでは、Bチームのベンチ入りですら出来ない時もあった。「だからこそ周りの人の気持ちも分かると思う。いい影響を与えられる選手になりたい」。悔しい思いをしたからこそ、分かることもある。

激励会では大商大・富山陽一監督からも熱い言葉を送られた。「恥ずかしかった思いを忘れるな。忘れたらまた同じことをする。一番だめなのは、忘れたふりをすること」。厳しい言葉には、3人にプロで活躍してほしいという親心が込められている。「久しぶりに会って激励の言葉をもらって、応えられるように頑張りたいと思いました。支配下登録されて、初めて出た試合に監督さんを招待して、その試合でホームランを打ちたいです」。小野寺は「一番下から」という言葉を何度も口にした。この日の思いを忘れずに、プロの世界でも必ずはい上がる。【阪神担当=磯綾乃】