巨人高橋優貴投手(23)は思い出のグラブとともに左肘違和感から復帰への道のりを歩んでいる。3月下旬、大学4年時に「4年間の集大成と思って作った」というSSKの赤色の相棒が修理から戻ってきた。現在は試合では使用しなくなった練習用グラブだったが「道具を長く使うのは大事だと小さい頃から、父親だったり、指導者の方に教わったので、今でも変わらず続けていることです」と笑顔で話していた。

道具を大切にするがゆえ、初めて買ってもらったグラブもまだ実家にある。ヤクルト五十嵐モデルのローリングス製のナチュラル色だ。中学時代には父親から「グローブはお年玉をためて、自分で買いなさい」と言われた。初めて自分で買ったグラブを3年間使い続け、大切に使う習慣が身についた。

大事にするものは野球道具だけではない。現在着用する私服の多くは大学時代から着続けている。オフ期間に久々に会った仲間から「プロになっても変わらないな」と言われたほどだった。

5日は左肘に違和感を覚えて以来、約1カ月ぶりのブルペン入りで20球を投じた。「思ったより良かったのでホッとしています。この期間を有効に使って、早く1軍に戻れるように頑張りたい」と復活への第1歩を踏み出した。

リハビリ中にはファンにメッセージを求めると、こんなことを口にしていた。「やっぱりファンがあってのプロ野球だと思う。感謝の気持ちを持って、僕たちもプレーするので(新型コロナウイルスが)終息したら、応援お願いします」。報道陣も取材自粛でブルペン投球を直接見たわけではない。球団から配信された、道具とファンを大切にする左腕復帰の一報を聞いて、開幕が待ち遠しくなった。【久永壮真】