野球応援 with コロナ-。無観客で開幕したプロ野球は、7月10日から上限を5000人として観客を入れる方針を決定した。

阪神では6月23日に甲子園で行われたウエスタン・リーグのオリックス戦で、観客を動員しての試合開催に向けた試験的なオペレーションを12球団最速で実施。事前応募で選ばれたファンクラブ会員など300人のうち、228人がスタンドに足を踏み入れた。入場者はマスク着用が義務付けられ、サーモグラフィーによる検温なども行われた。観戦スタイルはバックネット裏の1列10席程度のシートに、基本2人が座る間隔で着席。ジェット風船や大声での応援などは禁止された。

試合中、プレーに対して「声援」は飛ばなかった。代わりに「拍手」が選手たちに送られた。阪神ドラフト2位の井上が4番でスタメン紹介された時や、特大二塁打を放った際には一段と大きい拍手が起こった。ただ、普段なら湧き起こるはずの歓声はなかった。もちろん、応援歌もなし。まるで静寂のホールでクラシックを鑑賞しているかのような不思議な感覚だった。新しい観戦スタイルに慣れるには、時間がかかりそうだ。

ファンの反応はさまざまだった。話を聞いたみんながそろって、球場で野球観戦できる喜びを語ったが、応援スタイルについては違った。


30代女性「観客があまりいなくて歓声もない分、打球音や選手の声も響いてきました。臨場感があって良かったです」


40代男性「(間隔を空けての応援に)正直、寂しいです。やはり、声を張り上げてみんなで盛り上がりたい」


40代女性「応援ソングもなく、メジャーリーグの試合に近いのかなと思いました。メジャーの応援スタイルも好きですし、静かに野球をしっかり見られるのは良いと思います」


30代女性「打っても拍手はありますけど、歓声はないですし。そういったところで第1歩だったので、良かったと言えば良かったですけど、やっぱり寂しいなというのはあります。本格的に再開した時に、ワーッと言えないのはちょっとどうなのかなと。『ナイスプレー!』とも言えないですし」


新型コロナウイルスの影響で、新しい生活様式が提唱される今、スポーツ観戦もまた、新スタイルが求められていく。それでも、楽しみ方は無限大、また新たなスタイルが生まれていくに違いない。選手、ファンが一体となって、考えたこともなかったような案がいくつも生まれることだろう。人気芸人ぺこぱ風に言うならば、with コロナの野球観戦も「悪くないだろう」。【阪神担当 奥田隼人】

観客が見つめる中で試合が行われたウエスタンリーグ阪神対オリックス戦(2020年6月23日撮影)
観客が見つめる中で試合が行われたウエスタンリーグ阪神対オリックス戦(2020年6月23日撮影)