今年も多くの選手たちがプロの世界を去った。第2の人生へ踏み出す彼らを特集する「さよならプロ野球」を、全12回でお届けする。

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中日に球界では異例の親子スタッフが誕生する。今季限りで戦力外通告を受け、現役を引退した近藤弘基外野手(26)は来季から2軍サブマネジャーに就任する予定だ。父はスカウトを務める真市氏(51)だ。

14年11月、父の近藤真市コーチ(右)の横でガッツポーズする中日育成4位の近藤。左は清水スカウト
14年11月、父の近藤真市コーチ(右)の横でガッツポーズする中日育成4位の近藤。左は清水スカウト

近藤は享栄高から名城大を経て14年育成ドラフト4位で中日に入団。16年に支配下登録を勝ち取り、同年2本塁打を放ち、存在感を見せた。しかし、16年の21試合出場を最多に、今季は1軍に上がることなくシーズンを終えた。トライアウトに参加したが、獲得球団はなく、グラウンドを去った。「子どもにユニホーム姿を見せたかったけど、これからも妻と子どもを支えていきたい」。中日からマネジャー職の打診を受け、気持ちを切り替えた。

父真市氏も86年ドラフト1位で中日に入団。翌年にプロ野球史上初のデビュー戦ノーヒットノーランを達成した。しかし、肩、肘の故障から8年目の94年に現役引退。その後は打撃投手、スカウト、投手コーチを歴任し、今季からスカウトに返り咲いた。裏方に回る息子へ、「何でも経験。後輩たちには時には厳しく、時には優しく接していって欲しい」とエールを送る。

中日近藤の年度別成績
中日近藤の年度別成績

近藤は新たな仕事への決意を語る。「選手時代にも素晴らしい環境をつくってくれたのは、球団スタッフのおかげ。これからは恩返しの意味でも、やるからにはきっちり仕事をしていきたい」。26歳の若さでユニホームを脱いだ。くしくも父・真市氏がユニホームを脱いだ年齢と同じだ。職場は違うが、来季から親子で竜を支える。【伊東大介】

19年中日退団選手
19年中日退団選手