熱投野球論

ドラフト候補の横浜・及川はなぜ打たれたか/西本聖

<センバツ高校野球:明豊13-5横浜>◇24日◇1回戦

最速153キロを誇るドラフト候補の横浜・及川雅貴投手(3年)が打ち込まれ、初戦で姿を消した。4-0で迎えた3回に突如制球を乱し5失点。野球評論家の西本聖氏にテレビ観戦で分析してもらった。

明豊対横浜 明豊戦に先発する横浜・及川(撮影・加藤哉)
明豊対横浜 明豊戦に先発する横浜・及川(撮影・加藤哉)

-183センチ、73キロという恵まれた体に長い手足。最速も146キロをマークした。なぜ打ち込まれたのか

西本氏 左投手の場合、右足を上げてそこでタメをつくらないといけない。しかし及川投手はタメがしっかりつくれないうちに投げにいっている。しっかり軸ができていない。それとテークバックの際に左手が後ろ(三塁側)に入りすぎる。これでは肘が出てこないし右肩の開きが早くなる。開きが早くなれば打者はボールの出所が見やすくなり、タイミングが取りやすくなって、バットに当てやすくなる。それと踏み出す右足がややインステップしている。インステップすると最後は体をひねって投げないといけない。これがうまくいっている間はいいが、バランスを崩すと投げた後に右足一本で立つことができない。この試合でも投げた後に体が三塁側に流れてしまっていた。つまり、コントロールが付きにくい投げ方をしているということ。

-投球フォームに原因があるということか

西本氏 肩や肘の関節の柔らかさが生かされていない。その柔らかさがあるが故に好調な時は結果を出せるのだが、フォームを見つめ直せば100%に近い力を常に出せるようになるはず。

-どうすればいいか

西本氏 まずはタメの作り方。右足を上げたら数字を「5」数えてから投げる。軸足(左足)に体重が乗ったかどうかを確認してから投げること。これを練習で覚えて欲しい。今は右足を上げてすぐに上半身が出ていってしまう印象。それと踏み出す足は真っすぐに捕手に向けたい。よく例えるのだが、マウンドが「A」という駅、捕手が「B」という駅だとする。線路(レール)が下半身だとすればそこに上半身(電車)を乗せればA駅からB駅に必ず到着できる。しかし線路(下半身)がその方向に向いていなければ電車は脱線してしまう。

-及川投手の良い点は

西本氏 十分に化ける可能性を持っている素材だと思う。先ほども指摘したように肩、肘の関節も柔らかい。ただ、今はコントロールの付きづらい投げ方をしているということ。私もそうだったがコントロールというのは良くなるもの。悪い原因を逆算して考えていけば変わる可能性は大だと思う。自分なりに何かを感じて欲しい。夏までにはまだ時間があるし及川投手がどう壁を乗り越えて成長するか。それを楽しみに待ちたい。

横浜対明豊  先発した横浜・及川(撮影・柴田隆二)
横浜対明豊  先発した横浜・及川(撮影・柴田隆二)

 ◆西本聖(にしもと・たかし)1956年(昭31)6月27日生まれ、愛媛県出身。松山商から74年ドラフト外で巨人入り。2年目に1軍入りを果たすと77年に8勝を挙げ、80年からは6年連続で2桁勝利をマークするなど巨人の主力投手として活躍した。81年に沢村賞。中日に移籍した89年には20勝を挙げ最多勝。その後オリックスでもプレー。最後は94年、巨人で現役引退した。通算504試合に登板し165勝128敗17セーブ、防御率3・20。引退後は阪神、ロッテ、オリックス、韓国ハンファで投手コーチを務めた。16年から日刊スポーツ評論家に復帰。

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