8回裏阪神無死、遊撃内野安打を放つ北條(2019年2月17日撮影)
8回裏阪神無死、遊撃内野安打を放つ北條(2019年2月17日撮影)

ホント、こんな試合を見せられたらかなわん。コザしんきんスタジアムで行われた広島と韓国KIAの練習試合。話題の長野久義は簡単に打つわ、勝負の10年目・堂林翔太もバックスクリーン弾だわ、メヒアもでかい1発だわ。鳴り物入りルーキー・小園海斗も出てくるし。極め付きは鈴木誠也の流し打ちで右翼席へたたき込む3ランときた。

「あんなの風ですよ。風」。韓国の知らない投手から打って、それがどうしたんだとばかりに笑う鈴木。確かに右方向へ強い風が吹いていたが、おそろしくビルドアップされた体でそう言われてもな。新しい背番号「1」が細く見えるではないか。この日に限れば投手陣もよかったし、ホント、こんなチームとペナントを争うのか。阪神。

コラムを書くこちらが弱気になっていても仕方がないのだが、なんとなくそんな気分でいると旧知の顔に会う。東出輝裕。広島の豪快な打線を指導する打撃コーチだ。声を掛けると「阪神は話題がないんですか」とニヤリ笑う。何を言うとる。いろいろあるぞ。あるかな。あんまり、ないかも。まあ広島の方が多いのは認めざるを得ない。

4連覇を目指す広島、話題の1つは小園をどうするか、かもしれない。これはもう勝手に書くが不動の遊撃手・田中広輔がいる現状で小園の出番は簡単には来ない。なにしろ3連覇の遊撃手だ。故障などのアクシデントは別にして、1軍キャンプに来ている小園だが、まずはファームでじっくりというところだろう。広島は甘くない。

それだ。阪神にも話題があるぞ。遊撃争いだ。真価が問われる北條史也に、ベテラン鳥谷敬。そこに挑戦するルーキー木浪聖也の存在だ。広島のそれとは何となく違う感じだけど阪神にとっては大きな問題だ。そこで東出が面白いことを言う。

「ショートね。新人の木浪はいいですね。でも北條は“野球向き”ですよ。ウエスタン(リーグ)でいっしょに戦っていた感じから言うとね」

野球向き? そりゃ、プロ野球選手だしな。

「なんていうのかな。例えばコーチとかに何か言われて、口でハイハイって言って腹のなかでは何を考えているか分からないような感じもありますし。元々、関西でしょ。関西人は野球向きですよ」

よく分からないが分かるような気もする。いい意味で北條にふてぶてしさを感じるのはこちらも同じ。この春、スイングも鋭くなっているし、鈴木誠也と同期の高卒7年目。4番打者とは言わないにしても攻守にしぶとい仕事を期待したい。(敬称略)

サブグラウンドで早出特守で汗を流す北條(左)と植田(2019年2月15日撮影)
サブグラウンドで早出特守で汗を流す北條(左)と植田(2019年2月15日撮影)