DeNA対阪神 2回表阪神1死満塁、梅野の三ゴロ併殺くずれで先制点をあげる(撮影・上田博志)
DeNA対阪神 2回表阪神1死満塁、梅野の三ゴロ併殺くずれで先制点をあげる(撮影・上田博志)

今年初の関東遠征となったDeNA戦。先制したが勝てなかった。だが少しだけ光明というべきか、ひょっとしたら新指揮官・矢野燿大の目指す戦い方ができたのではないか。そう思う試合だった。

阪神は8安打で4得点。しかし適時打は1本もなかった。内野ゴロの間に挙げたものと敵失による4点だ。すべて並べてみる。

1点目 2回1死満塁で梅野隆太郎が三ゴロ。併殺崩れで三塁走者が生還し、先制。

2点目 5点を追う5回無死一、三塁。鳥谷敬が二ゴロ。点差もあり、DeNA内野陣は本塁に投げず、併殺を狙った。これで三塁走者は生還し、併殺も完成しなかった。

3点目 6回1死一、三塁から上本博紀が遊ゴロ。二塁封殺の間に三塁走者が生還。

4点目 9回1死一、三塁で植田海の投ゴロ。これが敵失になり、三塁走者が生還。

得点のすべてがこういう形で入るのもめずらしい。本塁打攻勢のDeNAと対照的でもあった。

スモール・ベースボールなどという言葉を持ち出さなくても、こんな攻め方は効き目がある。セ・リーグ3連覇を決めた広島が16年にまず優勝したとき、打撃コーチだった石井琢朗(現ヤクルトの同職)はことあるごとにこんなことを言っていた。

「いつでもヒット、本塁打が出るわけではない。ヒットを打たなくても得点が入ることを考えよう。犠飛でも内野ゴロでも点が入ればいい。それが大事だ」

くどいので書かないが指揮官・緒方孝市も同様のことを違う言い方で表現していた。強力打線が売りもののカープだが点取りゲームである野球を首脳陣から選手までが理解している。常にうまくはいかないにしても意識はしている。そういうポリシーが根付いているからこその3連覇なのかもしれない。

翻って阪神だ。最下位に落ち込んだ昨季、ここ一番の好機で安打どころかポップフライ、三振を喫する場面が目立った。打撃コーチの浜中治はこの日の試合後に言った。

浜中 ある意味でそこがウチの課題なんですよ。大事なところで打ち上げたり。そういう場面はよく見たでしょ。いまは三振が減っているはず。矢野監督が2軍時代から指導している粘り強さは徐々に出てきていると思います。

もちろんガンガン打って勝てればそれに越したことはない。だが本塁打の出にくい甲子園球場を本拠にするチームとして簡単ではない。こんなねちっこい得点、戦い方がシーズンでできれば…。オープン戦最下位の中、興味深い試合になったと思う。(敬称略)

DeNA対阪神 5回表阪神無死一、三塁、鳥谷の二ゴロの間に梅野が生還する(撮影・上田博志)
DeNA対阪神 5回表阪神無死一、三塁、鳥谷の二ゴロの間に梅野が生還する(撮影・上田博志)