最後の最後まで、強いキャプテンを貫いた。日大三・桜井周斗主将(3年)は準々決勝で東海大菅生に敗れた後、涙は流さず、しっかりした口調で取材に応じた。「チームに申し訳ないですし、悔しいです。負けた実感はありますけど、(高校野球が)終わった実感はまだありません」と敗戦の責任を背負った。「最後は腕が上がらない状態。気力で」9回を投げた。

 桜井 キャプテンとして、そういう姿を見せるわけにはいかないなと。

 試合後、桜井はそう言って、真っすぐと前を見た。昨秋の東京大会の決勝戦、早実・清宮幸太郎内野手(3年)を5打席連続三振。「清宮から三振を奪った男」として、大きな注目を浴び、その重圧とも戦った。「そういう期待に応えるのが、一流の選手だと思います。僕はまだまだです」と受け止め、清宮への思いを語った。

 桜井 清宮から5三振を取って注目され、清宮のおかげで自分も成長できた。対戦できなかったのは残念です。

 昨秋の対戦では、決め球のスライダーで空を切らせた。「超一流のバッターなので、清宮も対策を練ってくると思います」。冬のオフ期間は直球のキレ、スピードアップをテーマに置き、チェンジアップ、フォークの習得にも挑戦した。新球のチェンジアップは今春のセンバツの履正社(大阪)戦で威力を発揮し、直球は今夏、5キロアップの最速149キロを計測した。

 雪辱を誓った早実との再戦はかなわず、日大三での高校野球生活は終わった。試合後、進路を聞かれた桜井は言葉を選びながら、こう話した。「これから監督と話をしてですが、行ったところで結果を残したいです。この悔しさを持って、次のステージでは結果を出せるように頑張りたいです」。眼光鋭く、その言葉は力強かった。【久保賢吾】