<高校野球岩手大会:大船渡4-2盛岡四>◇21日◇4回戦◇岩手県営野球場

語り継がれる試合になるだろう。佐々木朗希投手(3年)を擁する大船渡(岩手)が、4回戦・盛岡四戦で延長12回の激闘を4-2で制した。佐々木は194球完投で21奪三振。8回には令和初、高校野球公式戦史上最速タイの160キロをマークした。延長12回には自身で決勝2ランを放ち、試合後には涙。98年夏の甲子園、横浜-PL学園での松坂大輔投手(現中日)を想起させるドラマは、野球界待望の大スター誕生を確信させた。

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時に孤高のオーラを発する大船渡・佐々木だが、実は後輩からも大人気の存在だ。ある2年生部員は「ぼくらともたくさん話してくれるんです」と喜ぶ。チームではグラウンドのライン引きは下級生の役割。それでも佐々木は自ら率先して行い、とんぼかけの技術も後輩に伝授するという。

「3年生だけじゃないんだよ。大船渡はこうやって伝統を引き継いでいくんだよ」との思いを口にし、後輩たちに託している。

163キロをマークした、4月のU18高校日本代表1次候補合宿でも、後輩思いのシーンが多く見られた。横浜(神奈川)の松本隆之介投手(2年)には自ら声をかけた。初対面でいきなり「マツ!」と呼びかけた。「驚きましたし、うれしかったですね」と松本。体重増の方法などをアドバイス。星稜(石川)の内山壮真内野手(2年)とも積極的に交流した。男3兄弟の次男、面倒見の良さは昔ながらのもののようだ。【金子真仁】

大船渡対盛岡四 12回表大船渡無死一塁、右越え2点本塁打を放った佐々木(左)は吉田と抱き合う(撮影・河野匠)
大船渡対盛岡四 12回表大船渡無死一塁、右越え2点本塁打を放った佐々木(左)は吉田と抱き合う(撮影・河野匠)