野球手帳

「32分の32」習志野・角田は監督のゲキから成長

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昨年の第91回選抜高校野球大会の準優勝校、習志野(千葉)が6日、千葉・習志野市内の同校でセンバツ準優勝旗の返還式を行った。

「普通に野球を出来たことが、普通じゃなかった」コロナウイルス感染拡大を受け心境を語った習志野高校の角田主将(左)と小林監督(撮影・たえ見朱実)
「普通に野球を出来たことが、普通じゃなかった」コロナウイルス感染拡大を受け心境を語った習志野高校の角田主将(左)と小林監督(撮影・たえ見朱実)

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小林監督は、準優勝旗返還式の前、選手たちを集め、こう話した。

「普通に野球ができていたことへの感謝を感じる機会にしなければ。こういう時期だからこそ、自発的、自主的に。いいきっかけにしなくてはいけないね」

チームはこの日、活動休止の延長を告げられた。主将の角田は「個人で練習するしかない。自宅でやれることは限られている。スイングや走り込み。体力が落ちないようにやっています」と前を向いた。

同監督はかねて、野球を通して精神的成長を促してきた。例えば昨春の準優勝したセンバツ前。角田の野球ノートに「32分の32」と書いた。出場校の遊撃手の中で一番下、という意味だった。角田は中学時代、佐倉リトルシニア(千葉)の主力として活躍。習志野では1年夏からベンチ入りするなど、守備には定評があったが、さらなる飛躍を求めた。「あの子はもっとうまくなりたいと思っている。そこを刺激したいんですよね」。小林監督ならではのやり方だった。角田は当時を振り返り「少し悔しかったけど、それならセンバツでいいプレーをして二度とそう言われないようにしようと思いました」。毎日、基礎練習を繰り返した。「正面から入り、右下から打球を見る」練習では何度も打球を口にあて、変色した前歯が勲章となった。

好プレーのたびに先輩たちに頭をなでられ、笑顔で甲子園を駆け回っていた昨春。そんな角田が、新チームの主将に立候補した。この日、準優勝旗を握りしめ、堂々と返還した姿は、1年前よりも強く、たくましく映った。

小林監督は「与えられた状況は、子供たちにとっては決していい状況ではありません。でも、何か自分にプラスにするきっかけにする。そんな機会にして欲しいと思います」と言った。夏の県大会が予定通り行われれば、3年生にとって残された期間は約3カ月。成長の月日にするかどうかは、選手の「気持ち」ひとつなのかもしれない。果たしてどんな努力をして、夏を迎えるのか。逆境をバネに、もっともっと強くなる。角田の姿を見て、そう信じたくなった。【保坂淑子】

19年3月24日、日章学園戦で打球を好捕する習志野・角田
19年3月24日、日章学園戦で打球を好捕する習志野・角田

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