意味あるドローだったと思う。敗色濃厚だったが7回以降に流れが変わり、延長12回引き分けに終わった。11日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)も引き分けだったので1週間に2度も、だ。疲れるが課題の交流戦5割フィニッシュへ向け、負けなかったことは大きい。

交流戦4カードを終え、4勝6敗2分け。2つの借金を抱え、楽天、西武の強敵に当たる。両方に勝ち越せればちょうど5割。そう考えれば今でもハードルは高い。それでもここで3連敗を食らっていれば5割には3連勝が必要になり、相当、難しい。ギリギリ期待できるラインだろう。

それを呼び込んだのは以前にもここで触れた「しぶとい攻撃」のおかげだ。長い試合を振り返って阪神打線が放った安打はわずか3本だけ。対するオリックス打線は13安打だった。それで得点は同じ「5」。2敗しておいて書くのも少し気が引けるのだが、この差が現状、各リーグでの順位の差という気もする。

5点を追う7回、大山悠輔の適時二塁打で1点を返した後だ。無死二、三塁で原口文仁が犠飛を打ち上げ、2点目。1死三塁に場面が変わって梅野隆太郎が一ゴロを打って、さらに1点。この回に3点を取ったことが終盤の同点劇につながっていった。

「よく3安打で5点取れたな、と。みんなでつないだ。3安打だけど四球も10個取れている。(福留)孝介さんの一打も大きかった。投手に助けられたし、次につなげていかないと」。打撃コーチの浜中治は虎番記者たちにそう話した。その後、クルマに乗り込む前に「打線のしぶとさ」について聞いた。これが浜中、いやチームが以前から求めていることだからだ。

「例えば梅野の一ゴロは“いい凡打”です。内野手が下がっているのを見て、ゴロを打とうと意識しているのが伝わってきました。飛球だけは上げないぞというのが分かりましたから」

浜中は力説した。チャンスで1本が出ないのはもちろん、ポップフライを打ち上げてしまう場面は昨季までよく見た。今年はその意味ではしぶとくなってきつつある。本気でつなごうという意識が打線に浸透しつつあるのが今季の特徴だ。

ガンガン打って勝てれば言うことはないが、いつもは打てない。安打でなくとも得点するこんな攻撃ができている限り、激しく落ち込んでいくことはないと見ている。(敬称略)

オリックス対阪神 オリックスと引き分けに終わり、タッチを交わす梅野(左端)と浜地(左から2人目)ら(撮影・前田充)
オリックス対阪神 オリックスと引き分けに終わり、タッチを交わす梅野(左端)と浜地(左から2人目)ら(撮影・前田充)