4回裏阪神1死一塁、大山は右線二塁打を放つ(撮影・加藤哉)
4回裏阪神1死一塁、大山は右線二塁打を放つ(撮影・加藤哉)

22日は「夏至(げし)」だった。日本古来の「二十四節気」のうちの1つだ。最大の特徴は「1年間でもっとも昼間が長い日」ということだそう。そんな日が7、8月の真夏のころよりも先に来るのは不思議な感じもするが、この日はとりあえず虎党にとってすてきなデーゲームとなった。

甲子園球場の「浜風」は有名だ。大阪湾方向から甲子園に吹いてくる風のことで右翼方向から左翼方向に吹く。これは今更だが意外に知られていないのは冬場は反対方向に風が吹くことだ。これは浜風とは言わない。季節だけでなく、その日の天気、気候によっても風向きは変わる。だが晴天のこの日は本格的な浜風がしっかり吹いていた。

「そうですね。練習のときからきょうは強いなと思っていました。(糸井)嘉男には前寄りに守っておいてくれと言ってましたから」。外野守備走塁コーチ・筒井壮が明かした。

浜風は右打者、特に長距離打者に有利だ。この日飛び出した西武中村剛也の2発などはまさにそうだろう。普通でも軽々とスタンドインする弾道が浜風に乗って、さらにグングン飛距離を伸ばしていた。

だが、それだけではない。右方向に飛んだ当たりが押し戻されることも重要なポイントだ。だから筒井は糸井にアドバイスしていた。そして普段、甲子園で戦わない西武守備陣はそこの注意が少しだけ足りなかったのかもしれない。

4回、糸井の中前打も大山悠輔の右前に落ちる二塁打も、さらに5回に出た高山俊の右前打もすべて浜風の影響を受け、安打になったように見えた。

「助けられましたね。特に(大山)悠輔の当たりはね。あれは木村(文紀)くんの油断じゃないですかね」。打撃コーチの浜中治もそう振り返った。

右打者に有利な浜風は当然、左打者に不利だ。6回の糸井の当たりは普通なら本塁打になっていたように見えたが風に押し戻され、二塁打になった。左打者の多い阪神打線にとってデメリットもあるが、この日は味方をしてくれた。

これで西武戦の勝ち越しが決定。貯金は「2」となった。もし23日の西武3回戦に負けたとしても、貯金を持ってリーグ戦再開できることも決まった。これは大きい。楽天に3連敗を喫したときは、借金でセ・リーグとの戦いに戻ることも覚悟したが、再びいい流れが阪神に吹いてきた。(敬称略)

6回裏阪神無死、糸井嘉男は右フェンス直撃二塁打を放つ(撮影・上山淳一)
6回裏阪神無死、糸井嘉男は右フェンス直撃二塁打を放つ(撮影・上山淳一)