1回裏阪神無死、一ゴロに倒れる近本光司(撮影・奥田泰也)
1回裏阪神無死、一ゴロに倒れる近本光司(撮影・奥田泰也)

京セラドーム大阪に行くとABCアナウンサーの岩本計介がいた。言うまでもない「おはよう朝日です」の司会者だ。岩本は今月23日から、こちらも同番組に出演する気象予報士・正木明とともにアフリカ最高峰のキリマンジャロに登頂するという。同局が力を入れている番組の40周年企画。阪神-DeNA戦の中継の中で番宣に来たのだ。

キリマンジャロ。標高5895メートルだとか。高いな。登るのか。しんどそう。高い山か。そうか。この試合は高山俊やな。ほら。見てみ。打ったで。予想的中。なんて。これは脚色です。

この高山を気にしているのが坪井智哉だ。このコラムによく出てくるDeNAの打撃コーチ。元猛虎のヒットマンである。イチロー同様の振り子打法で弱かったときの虎党を喜ばせた。まあ、今もそんなに強くはないけれど。

阪神のルーキー最多安打記録として坪井が保持していた135本(98年)を抜いたのが高山だった。16年に136安打を放った。それもあってか顔を合わせると「最近、高山はどうスか?」と聞いてくる。同時にセットのように名前が出るのが近本光司だ。

こちらも現在、125安打をマーク。記録を狙えるところだが坪井はこだわっているのはそこではない。これもいつも言う「近本は絶対、3割打てますって!」というセリフ。現状の打率2割7分2厘はご不満のようだ。

「思うのは“外甘(そとあま)”を二ゴロにしてますよね。あんなのをセンターから左に打てばすぐ3割だと思うけど。強く打とうとリストを効かせてしまうんでしょうね」。具体的にそんな話をした。外角の甘めの球を引っ張るのではなく、逆方向に打てば打率が上がるということだ。

この日もそんな二ゴロが2つ。これで3試合無安打となった。木浪聖也との「キナチカコンビ」復活で大暴れならもっと楽しいのだが少し結果が出ていない。

もちろん阪神も分かっている。試合後、打撃コーチの浜中治もそんな話をするとうなずきながら言った。

「二ゴロが出ているときはよくないですね。坪井さんと近本に共通しているのは左投げ左打ちということです。左手が強い分、押し込んでしまう。そういう話はしていますよ」

高山に長打が戻って。木浪も調子を上げて。ここで近本がビシバシ打ち出すと阪神打線は面白い。(敬称略)

プロ初安打となる左前打を放つ阪神坪井智哉(1998年4月11日撮影)
プロ初安打となる左前打を放つ阪神坪井智哉(1998年4月11日撮影)