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「五輪球場こけら落とし」内容いかにも“練習試合”

「3・24」は晴れがましい日になるはずだった。横浜スタジアムは東京オリンピック(五輪)の野球・ソフトボール競技会場だ。増築、改修が行われ前日23日に報道陣に公開された。三塁側内野席、左翼席後方に「ウィング席」を新設。収容人数は3万4046人に増えた。

DeNA対阪神 1回裏DeNA1死、マルテは中井の打球を後逸する(撮影・加藤哉)
DeNA対阪神 1回裏DeNA1死、マルテは中井の打球を後逸する(撮影・加藤哉)

そこで初めて開催されるのがこの日のDeNA-阪神1回戦だった。しかしプロ野球は開幕していない。無観客での練習試合。それどころか夜になって事実上、東京五輪の延期が決定。誰も想像できなかった状況での「こけら落とし」だ。

その内容はいかにも“練習試合”という様子だった。阪神がよかったのは新加入サンズの1発、果敢な重盗か。再逆転勝利もシーズンなら歓迎すべきことだ。ベテランの虎党なら「シーズンにとっとかんと!」と言いたくなるような展開だったかもしれない。

一方で失策数12球団ワースト(102)を記録した昨季の反省が足りていないのでは…と思わせる場面もあった。2回、2死一、二塁で糸原健斗が適時失策。さらに三塁手マルテもゴロを悪送球した。マルテは1回にもグラブの下を球が通過する失策をしていた。先発・高橋遥人はこの回に3安打も浴び、5失点(自責0)である。

「シーズンなら勝てないよね。3つもエラーが出たら。高橋がせっかくいいリズムで立ち上がっているのに。失策は去年からの話なんだけど。投手の足を引っ張るようなのはダメ」。内野守備走塁コーチの久慈照嘉は神妙に話した。

同時にこんなことも口にした。「開幕延期が続いてね。どうなるか分からない状況で。モチベーションの問題がないとは言えない。でも試合、練習でも、どんなときでもアウトにしないといけないところはしないとダメなんだよ」。

我々、阪神を取材する側にしても、毎日、どう開幕できるのかと、何とも言えない気持ちでいるのは事実だ。ましてや生活をかけてプレーする側に至ってはどういう心理状態なのかと思ってしまう。

それでも久慈が言うようにどんな状況でもやれることはやらないといけない。できないことはできないのだから、やれることはやらなければ。感染予防も身近なうがい、手洗いからが基本。のちに「あの日に…」と言われるであろう横浜での「五輪球場こけら落とし」試合。ムダにしてはいけないと思う。(敬称略)

記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、今シーズンの矢野タイガースに鋭く迫ります。

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