きょうはこれぐらいにしといたろ-。そんな感じがちょっとしている。若い頃、芸能担当、それも吉本新喜劇を担当していた時期があった。関西人なら知らぬ者のない池乃めだかも、当然、取材した。落ち着いた物腰のいい人だ。

めだかの有名なギャグが「きょうはこれぐらいにしといたろ」だ。説明するまでもないが、ケンカになって一方的にどつき回された後で、やられた方のめだかがこのセリフを言う。舞台にいる一同、バタッと倒れるアレである。

阪神は完敗だ。開幕投手を務め、試合前まで2勝2敗ながら防御率1・87と踏ん張っていた西勇輝が思わぬ乱調。4発を浴び、5失点で3敗目となったのは虎番記者の記事で読んでもらうとして。

言いたいのは、そりゃ打たれることもあるだろうということだ。負けるときもある。DeNAの先発はこれも開幕投手の今永昇太だった。ビシビシと来ていたし、これは打線もなかなか打てない。抑えられるときも、当然、あるのだ。

何より試合内容が不思議な感じだった。9回にルーキーの小川一平が適時打を浴びて1失点したが、それまでDeNA打線は5本塁打を放ちながら6得点だけ。見ているムードではそれこそ20点ぐらい取られたかな? という感じだったが、そうでもなかった。

対して阪神は梅野隆太郎が11球粘っての2点適時打、8回にはサンズの内野ゴロで1点と、それなりに内容のある得点だった。

「本塁打だけはダメというリードがある」。そう強調したのは捕手出身の知将・野村克也だ。以前にその理論について梅野と話したことがある。

こちらはプロ野球をやったことがないし、正直分からないけど、そういうのってあるのかな? そんな質問に梅野は「どうでしょう」と苦笑していた。

懸命に考えてリードしてもそこに球が来なければ仕方がない。野村が言ったのは「コントロールミスしても本塁打にはならないリード」という意味もあってのことだろうが、なかなか、難しい。ハッキリしているのはすべては結果で判断されるということだ。5発を浴びた梅野はこの夜、少し悩んだかもしれない。

引き分けを挟んで3連敗か。借金生活に逆戻りと流れはよくない。それでも、きょう2日の展開でムードはまた変化すると今回に限っては思っている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA 試合に敗れるもグラウンドで出てきてあいさつする矢野監督(右)(撮影・清水貴仁)
阪神対DeNA 試合に敗れるもグラウンドで出てきてあいさつする矢野監督(右)(撮影・清水貴仁)