両軍とも2桁安打を放ち、いかにも横浜スタジアムでのDeNA戦という打撃戦で阪神がなんとか競り勝った。前回6月26日からの同じ横浜での3連戦は負け越しているので、お返しというべきか。5カードぶりの勝ち越しは何よりだ。

それにしても敵将ラミレスの行動で「ふ~ん」と思わせることがある。敗戦にも必ずテレビインタビューを受けているのだ。他球団がどうかは確認していないが阪神ではいつもはないことなので新鮮に映る。

冷静に考えれば勝ったときは話し、負ければ話さないというのは、少し妙な感じもする。もちろんテレビ局のそれを含む記者たちの取材は敗戦でも受けるのだが。いずれにしても指揮官の生の声は何よりのファンサービスだと思うし、とりあえずラミレスはそれに徹しているのかもしれない。

その敵将が面白いことを言っていたのは昨季のことだ。阪神戦について、こんな内容だった。

「私が監督になってから阪神にはずっと負け越しているんでね。シーズンの阪神戦を五分で終われば勝ったのと同じようなものと思っているんだ」

えらい弱気やんか~と思ったが事実に基づいた感想なのだろう。ラミレスが指揮を執った16年からDeNAは阪神戦に4年連続で負け越している。阪神側からすれば、ずっと勝ち越していることになる。16年が阪神の貯金6、17年が貯金4、18年が貯金9、そして矢野燿大が指揮を執った昨季も貯金8だった。

そして今季だ。これでDeNA戦は6勝5敗1分けになり、1つ勝ち越しに成功した。2位相手を考えれば上出来である。しかし今季の阪神、なかなか浮上できないのは、そういう点もあるかもしれない。

対戦成績を見ると今回のDeNA、広島、そして中日には勝ち越しているがいずれも貯金は1つだけ。逆にヤクルトには1つ負け越している。そこで巨人へのマイナス3があって現在の借金生活が続いている。

マイナスがあってもプラスがあればいいが、どのチームとも5割そこそこ。そこで首位巨人に負け越すとやはり響く。当然だが、上位を目指すには、やはり「お得意さん」をつくることが必要なのだろう。

おなじみのDeNA相手か、一昨年まで3連覇を許した広島か、それとも…。今から巨人をそんな相手にすることができれば優勝も現実味を持つのだが。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)