第100回全国高校野球選手権記念大会第7日、12年連続15度目出場の聖光学院(福島)は2回戦で報徳学園(東兵庫)と激突。甲子園球場に近い兵庫・尼崎出身のエース衛藤慎也(3年)が初戦突破に導く。

 出身の地元兵庫勢を相手に、聖光のエース衛藤は闘志を燃やしていた。試合当日は祝日で第1試合に登場する龍谷大平安(京都)に始まり関西勢が3校連続で登場する。「完全アウェーになるのは分かっているけど、その方が力は出る」。中学時代に所属した尼崎北シニアの同期が明石商と、龍谷大平安と対戦する鳥取城北に1人ずつおり「すごい奇遇。自分の投球を見てもらいたい」と意気込んだ。

 今春のセンバツは痛めていた右肘が悪化し、本調子とは程遠かった。3月29日には再手術し、6月の東北大会から復帰。今夏の福島大会は5試合に登板し、21回2/3を投げ失点はわずかに2点。関西入りしてからは投球時の右肩の入りを修正した。「ケガの前より良くなっているし、変化球のキレも上がっている」と自信を見せる。

 対策は万全だ。正捕手の大松将吾(3年)とは入念に配球を打ち合わせている。大会NO・1遊撃手の呼び声高い小園海斗(3年)には「内角は打ってくるので、基本は外角中心」と宣言。左打者にとって逃げていく軌道のチェンジアップを有効に使う。「多分打たれると思う(笑い)。でも次の打者を抑えればいいだけ」と、局面で切り替える柔軟性が衛藤の真骨頂だ。

 本番を前日に控えた10日は、伊丹市内で最終調整を行った。「センバツでは勝ちを意識しすぎた。いかに自分たちの力を出せるか」。不死鳥のごとくよみがえった衛藤の右腕が、聖地でしなる。【高橋洋平】