今夏の秋田大会決勝(金足農-明桜戦=こまちスタジアム)の取材に、私も足を運んだ。

ニッカン6県版では毎回、優勝チームの全ベンチ入り選手のコメントを掲載している。試合後、選手に話しかけて20人の声を拾い集めた。そこで驚いたのは、ほぼすべての選手が口をそろえ「甲子園で優勝します」「日本一になる」と、何の疑いもなく宣言したこと。あの桑田、清原のPL学園を追い詰めた伝説は、もう昭和の話。秋田の名門も、ここ10年以上は甲子園から遠ざかっていた。にもかかわらず、この自信は一体どこから湧き出るのか? ある控え選手は「冬の練習がとにかくきつくて、何度も辞めようと思ったけど、我慢して乗りこえた。日本一つらい練習に耐えてきた」自負が、大きな自信に変わったと言う。

肝も据わっている。プレーボール直前、エース吉田と4番打川にスタンドから激励の声がかかった。すると、2人とも笑みがはじけ、しばしスタンドと向き合い声援に応えていた。決勝戦前でも、このリラックスぶりには驚いた。

秋田の高校野球熱も、衝撃的だった。県決勝当日は、球場にどんどん人が押し寄せ、すでに試合が始まり3回に入っても、入場券売り場には長蛇の列が続いた。甲子園中継のパブリックビューイングも壮観だった。平日の決勝戦に1500人超が集結し、喜怒哀楽全開で大盛り上がり。なんともすてきな光景に、私もその輪に加わりたかった。

【東北総局長・鈴木豊】