第100回全国高校野球選手権記念大会で準優勝した金足農(秋田)の選手や監督が30日、秋田県庁の佐竹敬久知事(70)を表敬訪問し、準Vの報告と地元への感謝を伝えた。佐竹知事は「全ての面で皆さんの努力は秋田の振興、前進につながる」として、同校野球部に県民栄誉章の授与を異例の直接伝達で明らかにした。団体では4例目の授与となり、「カナノウ旋風」の余韻に浸った。

佐竹知事は約8分間、興奮冷めやらぬ様子で金足農ナインを称賛した。表敬訪問の席で直接、県民栄誉章をサプライズ伝達。「私が秋田市長当時、(甲子園に)秋田商の試合を3回見に行ったが全部負け。私が見に行くと負けると言われた」とジンクスを心配し、今夏はスタンド観戦を自重していたが、3回戦・横浜(南神奈川)戦の逆転勝ちを見て甲子園行きを決意。「(準々決勝)近江(滋賀)戦の2ランスクイズが出たときは、ビックリ仰天したと同時に万歳した」と、「御前勝利」を笑顔で振り返った。

海外視察先でも「カナノウ旋風」を目の当たりにした。準決勝と決勝は台湾出張中で、今回の快進撃がまだ日本の統治下だった1931年(昭6)夏に、甲子園で準優勝した嘉義農林の再来をほうふつさせたという。「嘉義農林のユニホームは『KANANO』の『NA』を抜いた『KANO』。決勝の日は、台湾の街中もほとんどが金農を応援していた。中国の大連にも行ったが、すごかった。日本だけでなくアジアにも金農の名が知れ渡った」とフィーバーぶりを紹介した。

ナインは県庁で職員や県民ら400人以上に出迎えられて入場。中泉一豊監督(45)は「(県民栄誉章は)本当に名誉なこと。応援に回った選手も全員含めての受章」と喜びを語った。佐々木大夢主将(3年)は「秋田県全体で勝ち取った栄誉章。秋の国体では大阪桐蔭を倒して優勝したい」と雪辱を誓った。その後、秋田市役所の穂積志市長(61)を表敬訪問。職員や市民ら約800人から歓迎された。穂積市長は「泥くさくひたむきに頑張った姿が全国に感動を与えた」と偉業をたたえた。【神稔典】

◆秋田の県民栄誉章 団体は99年に田臥勇太(現B1栃木)率いる能代工がバスケットボールで3年連続全国3冠、全国優勝通算50度の節目に初受章。06年の都市対抗を東北勢として初制覇したTDK硬式野球部、07年の国民体育大会で県勢初となる天皇杯、皇后杯獲得を達成した秋田県選手団に続き、金足農は4団体目の受章となる。個人は今年のバドミントン世界選手権女子ダブルスで金メダルを獲得した北都銀行の永原和可那(22)、松本麻佑(23)ら17人が受章。