日本文理は7年連続の北信越大会出場を決めた。新潟産大付を4-2で振り切った。0-0の2回1死二塁で6番・長谷川優也三塁手(1年)が左翼柵越えの先制2ラン本塁打を放ち、主導権を握った。今日20日は準々決勝の残り2試合が行われ、北信越大会出場の4校が決まる。

鋭い一撃を放った長谷川は、打球を目で追うのを途中でやめた。「シンは食ってなかったけれど、越えた感じはした」。打球は100メートルと表示された左翼フェンスを越えて、無人の観客席で弾んだ。2回。0-0の1死二塁で生まれた先制2ランは公式戦初本塁打。「小さいころから日本文理や新潟明訓の先輩たちの本塁打を見てきて、この球場で打つのが夢だった」。

「準々決勝の前までは、チームの足を引っ張ってばかりいた」と長谷川は振り返る。支部予選2回戦から県大会1回戦までの3試合で放った安打は支部予選3回戦・五泉戦の右前打1本だけ。日本文理入学直後の今春から背番号5(夏は6)を背負ってきた1年生は、不振の責任を感じていた。「気負い過ぎてスイングに無駄な力が入っていた」と言う。16日の県大会1回戦・長岡大手戦後の練習で心掛けたのは素振り、ティー打撃での「脱力」スイング。秋季大会2安打目が豪快な本塁打で、7回にはこの日2安打目の左前打を放った。

鈴木崇監督(38)は「先制点が大きかった」と先制2ランをほめた。長谷川は黒埼中時代、U15の侍ジャパンに選出された逸材。「BFA U-15アジア選手権(日本)」の優勝メンバーだ。それだけに、志は高い。「本塁打の次の打席は、球を引っかけて三ゴロに終わった。(打率は)10の10を目指したい」。174センチ、67キロの全身は、入学時についていた脂肪を8キロ落としてキレがでた。「ベンチに入れない先輩のため、今の3年生のためにも、センバツに行かなければならない。そのために貢献したい」。バットスイングには力みが消えた長谷川だが、口調は力がこもっていた。【涌井幹雄】