全国高校野球選手権大会が、100回大会を迎える2018年夏までの長期連載「野球の国から 高校野球編」。元球児の高校時代に迫る「追憶シリーズ」の第20弾は西本聖氏(61)です。甲子園で活躍した2人の兄を追い名門・松山商(愛媛)に入学するも、1度も甲子園の土を踏むことはできませんでした。当時、上下関係も練習も全国で一番厳しいとも言われた松山商。1年春から公式戦登板も2度の脱走事件を起こします。また高校生活の中で初めて「努力」の大切さを知ります。それが卒業後、ドラフト外で入った巨人、プロ野球での活躍につながりました。全8回でお送りします。


連載トップへ

73年、練習試合前、並んで投球練習する作新学院・江川卓(左)と松山商・西本聖
73年、練習試合前、並んで投球練習する作新学院・江川卓(左)と松山商・西本聖

◆西本聖(にしもと・たかし)1956年(昭31)6月27日、愛媛県松山市生まれ。松山商時代は甲子園出場ならず。74年ドラフト外で巨人入団。同期に定岡正二がいる。79年にライバル江川卓が入団し、2本柱としてチームを支えた。鋭いシュートを武器に81年18勝で沢村賞。同年日本シリーズMVP。中日に移籍した89年に20勝で最多勝。93年オリックス移籍、94年巨人に復帰し同年引退。日本シリーズの29イニング連続無失点は今でも最長記録。通算504試合、165勝128敗17セーブ、防御率3・20。ゴールデングラブ賞8度。投手コーチとして03年阪神でリーグV、10年ロッテでは日本一に貢献した。現役時代は176センチ、81キロ、右投げ右打ち。