筑陽学園の自慢の投手力は、プロ注目の進藤(しんとう)勇也捕手(3年)が支えているといって過言ではない。1年秋からマスクをかぶる進藤は守備の要だ。西、西舘、菅井の3人を巧みにリードし、昨年の秋は福岡県を制し、九州大会も初優勝。明治神宮大会で4強入りを果たした。江口祐司監督(56)も「進藤の成長が大きい」と太鼓判を押す。

20日の甲子園での練習後は「スタンドが大きいし広いなと感じたが緊張しそうな感じはしなかった」と大物ぶりを感じさせた。「スローイングのタイムとか、盗塁を許さないような捕手を目指している。(今大会の)他の捕手から学ぶことは多い。いいところを盗んで、負けないようにしたい」とセンバツでのアピールも誓った。

プロが注目するのはキャッチングとスローイングの卓越した技術だ。「公式戦では投球を後ろにそらした記憶がありません」と豪語する。またスローイングに関してはプロ並みの二塁までの送球最速タイム1・8秒をたたき出したことがある。昨年秋九州大会でも1・86秒を記録した。「ソフトバンク甲斐選手の動画を見て、1年前くらいからずっと足の運びを練習してきました。さらに、どこでキャッチすれば効率がいいかもとことん研究しました」。送球の速さは肩だけでない。捕球動作から始まっていることを心得ている。

内浜中で所属していた糸島ボーイズでは控え捕手だった。「悔しかった。高校では絶対にレギュラーを奪おうと思っていた」。努力は1年秋に実り筑陽学園になくてはならない存在になった。

スローイングは「甲斐キャノン」が先生なら配球は「ノムさん」こと野村克也氏の本から学んだ。

進藤 根拠のないリードはしない。自分の中で理由がなかったり、答えられないリードをすると投手からの信頼ももらえない。また、点を取られるのにも、打たれるのにも必ず原因がある。同じ打者に何回も打たれることをなくすこと。

対戦相手の打者が打席に入る前、素振りや構えのステップの広さなどを凝視。対策を練ってサインを出すことにしている。

進藤 将来はプロ野球選手になりたい。なるだけでなくしっかり活躍できる存在になって子どもたちに感動を与える選手になりたいんです。

「強肩好リード」が武器の180センチの大型捕手が未来の輝く自分の姿を想像していた。